人の記憶が薄れる時、声から忘れていくと申しますが、私にはこの身を削っても忘れない人物がいるのです。

仮に彼女をAとします。
私はAの腹から落ち、罵声と束縛と打撃の中過ごしてまいりました。
自我のあった頃といえば、私もそれはそれは汚い言葉でAを罵ったものでしたが、それもだんだんと面倒になって来たのです。

Aは自分に気に入らない事があれば私を叩き、怒鳴り、友人付き合いを制限しました。
私にとって友人は心の拠り所であり、逃げ道だったのです。
私はAに心ばかりか友人も奪われました。
私はそれが酷く憎くてたまりませんでした。

ひりひりと痛む頬を冷たい床に這わせ唇を固く噛み、怒りを拳に閉じ込め、それでも溢れた憎しみをぶつぶつと恨み言のように吐き出すのです。

_____________死ね


__________お前なんか、死んでしまえ。

死なぬのならば

私がお前をこの手で殺してやる。