目の前の皿には何も乗っておりません。
銀のカトラリーは綺麗に磨かれ、いつでも食事はできるのですが。
やがで盛られた物は紫の異物でございました。
__________それは
私の、私の半生だったのです。
嗚呼、なんとグロテスク!
私は"それ"にフォークを突き刺しました。
怒りと共にそれを口に入れ、咀嚼する。
怒りと憎しみが混ざり合い、なんという味でしょう。
唾液が混ざり、食感も気色が悪くなって参りました。
それでも私は飲み込まなければならないのだ。
私の怒りと憎しみと、恥を晒すのですから。
この程度の過食は、誤差でしかないのです。


