「おはよう〜。朝だよ」

私は、隣から聞こえくる声に「う〜んっ」と目を擦りながら目を開け声がする方へ視線を向けると、私は絶句してしまう。

何故なら、そこに男の子の〝幽霊〟が同じベッドに横たわって居たからだ。

「きゃっ!?何でアンタが居るのよ!」

私はベッドから飛び上がりなが言うと、幽霊を指差して怒鳴る。

「え〜駄目?」

幽霊はヘラヘラと笑いなが言うと、ベッドから立ち上がる。

「駄目に決まってるでしょ!何回も言わせないで!」
「えへへっ」

そう、幽霊がベッドに忍び込むのはこれが初めてでは無い。過去に何度も同じ事をされている。

「本当にやめてよね!」

私はもう一度声を荒らげて言う。

「何か、キャンキャン吠えているチワワみたいで可愛いね」
「誰がチワワよ!」

私は思いっきり、殴ってやろうとした時だった。下の階から「何ひとりで騒いでるの?朝食出来てるわよ」とお母さんが呼ぶ声が聞こえる。

そうだった。家族の中で幽霊が視えるのは私だけだから、当然幽霊の声だって聞こえない。
だから、ひとりで喋っている様にしか聞こえないのだった。

「はーい!今、行く!」

そう返事をすると、幽霊の方を睨み付けて「着替えるから出ていって」と部屋の扉を指差しながら言う。

「着替える所見ていい?」
「良いわけあるか!」
「はいはい〜。幽霊は退散しまーす」

私が拳を握り締めたのを見て、扉をすり抜けながら消えていった。