私は手の甲を押さえながら部屋の中を歩き回っていた。これは挨拶だ。頭ではわかっているけれど、心臓がドキドキし過ぎて苦しい。赤くなった顔を両手で覆うと窓の外が突然明るくなった。

「わぁぁ……!」

 空が見たこともないほど輝いて、静かに浮かぶ月までも、まばゆい光を放っている。

 レオニードとルシアが会って話すことができれば、ルシアは元の姿に戻ることができるかもしれない。そうなれば、ロシュフォールたちも元に戻る。きっと皇帝陛下も期待をしているに違いない。
 
「うまくいきますように!」

 私は両手を組んで、眩しいほどに輝く星たちに願いを込めた。