翌日、私はいつものようにお城と庭園の掃除を終えると、自室へ戻って歴史書に呼びかけた。ルシアを元に戻すためには、精霊についてもっと知っておく必要がある。
「精霊について教えて。」
歴史書のページがめくられて、文字が浮かび上がった。森の精霊に選ばれる条件は、高い魔力と卓越した技術、泉を浄化するために必要な浄化の魔力を自在に操れることとある。
「やっぱりルシアってすごいのね。」
ルシアは、まさに精霊のエリートだ。
「ドルレアンには精霊の棲家があるのね。」
お城の北側、森の向こうに聳えるドルレアンの山は、人が立ち入ることができない秘境の地。そこに精霊の棲家があり、精霊たちはそこから森の泉へ行き来することができると書かれている。
「ということは、彼はドルレアンから来なくなっちゃったってことよね。」
彼に会えなくなって寂しく思っていたルシアは、ロシュフォールに思いを馳せることで傷を癒していたのだろう。しかしそのロシュフォールも結婚してしまうと知って魔力が高まってしまった。そう考えるのが自然だ。
「悪の精霊に変わるには……」
精霊の魔力が急激に上昇し、暴発することで悪の精霊になってしまうと書かれている。魔力の高い者ほど陥る危険が高く、魔力が高まる理由は様々。多くは嫉妬や憎悪の感情の増幅によるもので、悪の精霊を元に戻すためには、魔力が高まる原因を突き止めて対処する必要がある。
「魔力が強すぎるっていうのも大変なんだな……」
『大体、魔力が暴発するというのは本来、自分の魔力では制御できないほど強い魔力を持つ人に起こることなの。自分で魔力を制御できないから暴発するっていうのは、本人の怠慢。甘えなのよ!』
母から聞いた言葉が浮かんできて吹き出した。魔力の暴発は、本来ステファン様のように魔力が使えない人ではなく、魔力が強すぎる人に起きることなのだ。ルシアは皇帝陛下に匹敵するほどの魔力の持ち主。だから魔力が制御できなくなって悪の精霊になってしまった。
(ということは、皇帝陛下も暴発する可能性があるってこと……?)
私は歴史書に視線を落とした。
「精霊について教えて。」
歴史書のページがめくられて、文字が浮かび上がった。森の精霊に選ばれる条件は、高い魔力と卓越した技術、泉を浄化するために必要な浄化の魔力を自在に操れることとある。
「やっぱりルシアってすごいのね。」
ルシアは、まさに精霊のエリートだ。
「ドルレアンには精霊の棲家があるのね。」
お城の北側、森の向こうに聳えるドルレアンの山は、人が立ち入ることができない秘境の地。そこに精霊の棲家があり、精霊たちはそこから森の泉へ行き来することができると書かれている。
「ということは、彼はドルレアンから来なくなっちゃったってことよね。」
彼に会えなくなって寂しく思っていたルシアは、ロシュフォールに思いを馳せることで傷を癒していたのだろう。しかしそのロシュフォールも結婚してしまうと知って魔力が高まってしまった。そう考えるのが自然だ。
「悪の精霊に変わるには……」
精霊の魔力が急激に上昇し、暴発することで悪の精霊になってしまうと書かれている。魔力の高い者ほど陥る危険が高く、魔力が高まる理由は様々。多くは嫉妬や憎悪の感情の増幅によるもので、悪の精霊を元に戻すためには、魔力が高まる原因を突き止めて対処する必要がある。
「魔力が強すぎるっていうのも大変なんだな……」
『大体、魔力が暴発するというのは本来、自分の魔力では制御できないほど強い魔力を持つ人に起こることなの。自分で魔力を制御できないから暴発するっていうのは、本人の怠慢。甘えなのよ!』
母から聞いた言葉が浮かんできて吹き出した。魔力の暴発は、本来ステファン様のように魔力が使えない人ではなく、魔力が強すぎる人に起きることなのだ。ルシアは皇帝陛下に匹敵するほどの魔力の持ち主。だから魔力が制御できなくなって悪の精霊になってしまった。
(ということは、皇帝陛下も暴発する可能性があるってこと……?)
私は歴史書に視線を落とした。



