エルバトリア城の裏庭から少し離れた人目に付かない場所に、キラキラと輝く豪華な馬車が停車していた。オレンジ色の服を着た恰幅の良い男性が馬車に乗り込むと、輝く馬車はふわりと空へ舞い上がった。

「さぁ、帰りますよー！急いでください！」

　オレンジ色の服を着た恰幅の良い男性は、オレンジ色の服を脱ぎ捨て、質の良い執事服に着替えた。

「来て良かったー！やりましたよ、陛下ー！」

　魔力を使える女性を探すため、魔力使いの多いエルバトリアへ行こうと思ったら、たまたまゴミ箱にエルバトリアで開かれるパーティーの招待状が入っているのを見つけた。

　その招待状を使って参加したら、ポンコツ王太子が優秀な婚約者との婚約を破棄する現場に居合わせた。あんなに優秀な女性を捨てるなんて、ポンコツとしか思えない。

「すぐ戻って来ますからね！未来の皇妃様っ♪」

　馬車は急加速して空の彼方へ消えた。