書類を整理していたランスロットは、執務机の引き出しが不自然に光っていることに気づいた。

「陛下、なんか光ってますよ?」
「……」

「なんか光ってますって。」
「気のせいだ。気にするな。」

(怪しい……!)

「おい、待てっ!」

 ランスロットは慌てるアルフォンスに構わず引き出しを開けた。そこにあったのは、アルフォンスが皇帝に即位した時、使用人総出で探したのに見つからなかった国王の鏡だった。

「どうしてこんなところにあるのですか!?ここは、何度も探しましたよね!?」
「……あぁ。」

「よかったです、見つかって。」

 ランスロットが鏡を取り出そうとすると、アルフォンスに手を掴まれた。

「大切なものだからしまっておくべきだ。」

(何か隠してるな。)

 すると、鏡が光を放った。アルフォンスが油断した隙にランスロットは鏡を取り出した。

「ほぅ、なるほど。陛下に見たいものが現れたから、鏡が出てきたのかもしれませんね。はい、納得納得。」

 鏡に映っているのはセレーヌだ。アルフォンスは気まずそうに視線をそらしている。きっとこの鏡はずいぶん前に見つかっていたのだろう。

「だから魔法石を渡せ、紅茶を淹れて来いなどの注文が多かったのですね。」

 ランスロットはにやにやが止まらなくなった。

「それに今日はなぜか天気が良く……あ、セレーヌ様が庭園へ出られるからですね。素晴らしいご配慮です、陛下。」

 セレーヌは庭園で地道に魔力を放って掃除をしている。しかしこの城の庭園は少し厄介だ。

「陛下、セレーヌ様が困っておられます。助けて差し上げてください。」
「どうして俺が……」

「庭園のお掃除は大変ですよ?城の中よりも魔力を消耗します。また倒れちゃうかもしれません。」

 アルフォンスはため息をついた。