「疲れた……」

 アルフォンスはソファーにもたれかかった。ポンコツ王太子の制裁はランスロットでも十分できた。どうしてわざわざランスロットに変装してまでエルバトリアへ行ったのか、自分でもよくわからない。

 結果的にセレーヌの両親に会えたことは良かったけれど、ポンコツは思った以上にポンコツで腹が立った。セレーヌはずっとあの出来損ないの王太子を支えるために魔力を習得してきた。それを思うと、同情を通り越して悔しささえ覚える。あの時の父親の気持ちも理解できる。

「次に手紙が来たら……何をしてやろうか。」

 アルフォンスはステファンからの手紙を宙に放り、魔力を放って盛大に燃やした。