「セレーヌ様のお部屋がこちらでございま〜す!」
ランスロットさんが案内してくれたのは、パーティー会場を思わせるほど明るく光り輝いた部屋だった。私は思わず後ろを振り返った。お城の廊下と部屋の雰囲気が違いすぎる。
「お気に召しませんでしたか?」
「とんでもありません!ただ、お城の雰囲気と部屋の雰囲気があまりにも違うものですから……」
「廊下は掃除してませんからね。」
「掃除をすれば、この部屋のように綺麗になるんですか?」
「そうだと思います。」
「でしたら、掃除をします!浄化の魔力なら使えますから!」
「それはありがたいです。私だけでは執務室の掃除が限界でして……ぜひ明日からお願いします。」
ランスロットさんに続いて足を踏み入れた私は、ぐるりと部屋の中を見回した。豪華な天蓋ベッドや花柄のカーテン、エルバトリア城の客間にあるような豪華なソファーセットは、私が夢見ていた部屋だ。
「セレーヌ様のお部屋もこのような造りなのですか?」
「全然違います!私の部屋は、魔力の習得のために物を置かないようにしていましたから、ベッドとチェストくらいしかなくて……」
「あぁ、なんと涙ぐましい努力を!」
ふかふかのソファーに腰を下ろすと、ランスロットさんは流れるように紅茶を入れてくれた。
「私が淹れたとても美味しい紅茶です。ぜひお召し上がりください。」
「ありがとうございます。」
一口飲むと花の香りが全身を包んだ。お世辞ではなく本当に美味しい。
「では早速、セレーヌ様をヴァルドラードへお招きした理由を、お話しさせていただきますね。」
私はカップを置いて姿勢を正した。
「すみません……皇帝陛下から聞かなければいけませんでしたよね……」
「陛下の魔力は異常値です。圧倒されるのも無理はありません。」
皇帝陛下の魔力が計り知れないことは、あの一瞬でわかった。皇帝陛下と私の力の差は歴然だ。
「私にできることがあるのですか?」
「セレーヌ様には、精霊と話をしていただきたいと思っております。」
「精霊!?」
精霊なんて本の中に存在する架空の生き物だと思っていた。
「森にある聖なる泉に、ルシアという名の精霊がいます。彼女が女性と話したいと言っているんです。」
「だから女性の魔力使いを探していたんですね。」
「左様にございます。」
初対面で精霊と話せるのか不安はあるけれど、ランスロットさんや皇帝陛下に恩返しするためにも、私は私のやるべきことをやるのみだ。
「わかりました。がんばります!」
「ありがとうございます。ですが、聖なる泉がある森は陛下が結界を張っていまして、許可がなければ入れません。泉へ行く際はお声かげしますので、しばらくお待ちください。」
「森にも結界を張っているんですね。」
結界を張り続けるということは、その分魔力を消費し続けているということだ。皇帝陛下の底なしの魔力には圧倒されるばかりだ。
「森へ行くまでは、ご自由にお過ごしください。ただ、掃除が行き届いておりませんので、どこも悲惨な状態ではあります。特に庭園なんかは……」
「庭園があるんですね!」
「期待しないでください。そもそも雨ばかりですから。」
窓の外を見ると霧がかかっていて何も見えない。私はまだ見ぬヴァルドラード城の庭園を想像して胸を高鳴らせた。
ランスロットさんが案内してくれたのは、パーティー会場を思わせるほど明るく光り輝いた部屋だった。私は思わず後ろを振り返った。お城の廊下と部屋の雰囲気が違いすぎる。
「お気に召しませんでしたか?」
「とんでもありません!ただ、お城の雰囲気と部屋の雰囲気があまりにも違うものですから……」
「廊下は掃除してませんからね。」
「掃除をすれば、この部屋のように綺麗になるんですか?」
「そうだと思います。」
「でしたら、掃除をします!浄化の魔力なら使えますから!」
「それはありがたいです。私だけでは執務室の掃除が限界でして……ぜひ明日からお願いします。」
ランスロットさんに続いて足を踏み入れた私は、ぐるりと部屋の中を見回した。豪華な天蓋ベッドや花柄のカーテン、エルバトリア城の客間にあるような豪華なソファーセットは、私が夢見ていた部屋だ。
「セレーヌ様のお部屋もこのような造りなのですか?」
「全然違います!私の部屋は、魔力の習得のために物を置かないようにしていましたから、ベッドとチェストくらいしかなくて……」
「あぁ、なんと涙ぐましい努力を!」
ふかふかのソファーに腰を下ろすと、ランスロットさんは流れるように紅茶を入れてくれた。
「私が淹れたとても美味しい紅茶です。ぜひお召し上がりください。」
「ありがとうございます。」
一口飲むと花の香りが全身を包んだ。お世辞ではなく本当に美味しい。
「では早速、セレーヌ様をヴァルドラードへお招きした理由を、お話しさせていただきますね。」
私はカップを置いて姿勢を正した。
「すみません……皇帝陛下から聞かなければいけませんでしたよね……」
「陛下の魔力は異常値です。圧倒されるのも無理はありません。」
皇帝陛下の魔力が計り知れないことは、あの一瞬でわかった。皇帝陛下と私の力の差は歴然だ。
「私にできることがあるのですか?」
「セレーヌ様には、精霊と話をしていただきたいと思っております。」
「精霊!?」
精霊なんて本の中に存在する架空の生き物だと思っていた。
「森にある聖なる泉に、ルシアという名の精霊がいます。彼女が女性と話したいと言っているんです。」
「だから女性の魔力使いを探していたんですね。」
「左様にございます。」
初対面で精霊と話せるのか不安はあるけれど、ランスロットさんや皇帝陛下に恩返しするためにも、私は私のやるべきことをやるのみだ。
「わかりました。がんばります!」
「ありがとうございます。ですが、聖なる泉がある森は陛下が結界を張っていまして、許可がなければ入れません。泉へ行く際はお声かげしますので、しばらくお待ちください。」
「森にも結界を張っているんですね。」
結界を張り続けるということは、その分魔力を消費し続けているということだ。皇帝陛下の底なしの魔力には圧倒されるばかりだ。
「森へ行くまでは、ご自由にお過ごしください。ただ、掃除が行き届いておりませんので、どこも悲惨な状態ではあります。特に庭園なんかは……」
「庭園があるんですね!」
「期待しないでください。そもそも雨ばかりですから。」
窓の外を見ると霧がかかっていて何も見えない。私はまだ見ぬヴァルドラード城の庭園を想像して胸を高鳴らせた。



