この恋は偶然?いや運命です!

大学近くの、比較的新しいアパート。

 舞は、このアパートの2階で一人で暮らしている。

「あの、如月くん。

 ここまで送ってくれて、ありがとうございました。
 夜道、ひとりで歩くと怖かったし、迷いそうで。

 話しながら帰れて、嬉しかったです」

「こちらこそ。

 話せて嬉しかった。

 今度、2人で改めて、ご飯でも行かない?

 舞ちゃんさえ、嫌じゃなければ」

「嫌なんて、とんでもない!

 私も、もっと如月くんと話したい。

 スケジュール空いてる日、知りたいから連絡先、教えてほしいです」

「言われなくても、そうするつもり」

 彼が差し出した画面には、LINEのQRコードが浮かんでいた。

 それを読み取ると、推しバンドのライブ会場のアイコンが現れる。

「さすがに、ロゴをアイコンにするわけにも行かなかったし、ライブ会場の看板なら、セーフかなって」

「今日はもう遅いですし、明日、また連絡しますね。

 ゆっくり、寝てください。

 おやすみなさい」

「舞ちゃんも、ちゃんと寝てね。

 寒暖差すごいから、風邪ひかないようにしてね。

 おやすみ」

 舞は、彼に手を振って、家に入り、アパートの鍵を掛けた。

 自室のベッドに、ぽすんと音を立てて腰掛ける。

「明日、皆に何か言われるかな」

 それはそれで、また皆に相談する、いい機会だ。

 合コンメンバーも、それぞれ動きがあったようだ。

 空きコマに、食堂でその話に花が咲くだろう。

 知らぬ間に2回会っていて、今日が3回目と言うなら、これは運命なのではないだろうか。

 2人でもっと話すと、きっとまた知らなかった彼の側面を、たくさん知るのだろう。

 それから恋人になるのも、きっと悪くない。

 そっと舞の心が動いた、ある秋の1日だった。