ご飯に誘われたけど断った、というふうに吉見さんは言っていたっけ。もちろん花梨ちゃんに言えるわけもない。
「大食いの子がいいから、って言われたんです。断るにしたって、そんな言いかたあります? 現実にいなそうな条件を持ち出して断るなんて、卑怯だと思いません? はっきり言ってガッカリ。吉見さんを見損ないました」
「ごほっ、ごほ、ん、ん」
水に咽せた。花梨ちゃんの顔を見られず、ついうつむいてしまう。顔が熱い。
こんな間接攻撃を受けるとは思わなかった……!
そして、吉見さんがずるい言いかたをしたわけじゃないと、弁護したい。したいけれども。
この流れで、吉見さんと付き合っているなんて打ち明けるわけにはいかないじゃない?
だってその時点で、私が大食いだっていうことも知られてしまう。
クラブサンドが運ばれてくる。女性のひと口の大きさに合わせてあるのか、小さくカットしてあるのが親切設計だ。
私は注意深く、花梨ちゃんの食べるスピードに合わせる。知られたくない。吉見さん以外のひとには。
頭の中に、くすくすという女子の嘲笑が響く。ああ、もう。鈍い痛みに、私はこっそりお腹を押さえる。
でも。
吉見さんが誤解されるのは、いい気分じゃない。誤解されたまま前職を辞めて、こっちでも誤解されるなんて、私が嫌だ。
「吉見さんは無愛想だし、言葉も……足りないところがあるかもだけど。適当な言葉で言い逃れをするひとじゃないよ。それに花梨ちゃんだって、フラれたからそう言ってみただけで、本心じゃないでしょ?」
「……陽彩さん、すごい」
花梨ちゃんが食べる手を止めた。
ぽかんと私を見る。
その目が徐々にキラキラしていくから、たじろいでしまった。
「え、どうしたの?」
「だって、陽彩さんは相手のよさを全面的に信用しているってことですよね? わたし、陽彩さんに一生ついていきますっ!」
「大食いの子がいいから、って言われたんです。断るにしたって、そんな言いかたあります? 現実にいなそうな条件を持ち出して断るなんて、卑怯だと思いません? はっきり言ってガッカリ。吉見さんを見損ないました」
「ごほっ、ごほ、ん、ん」
水に咽せた。花梨ちゃんの顔を見られず、ついうつむいてしまう。顔が熱い。
こんな間接攻撃を受けるとは思わなかった……!
そして、吉見さんがずるい言いかたをしたわけじゃないと、弁護したい。したいけれども。
この流れで、吉見さんと付き合っているなんて打ち明けるわけにはいかないじゃない?
だってその時点で、私が大食いだっていうことも知られてしまう。
クラブサンドが運ばれてくる。女性のひと口の大きさに合わせてあるのか、小さくカットしてあるのが親切設計だ。
私は注意深く、花梨ちゃんの食べるスピードに合わせる。知られたくない。吉見さん以外のひとには。
頭の中に、くすくすという女子の嘲笑が響く。ああ、もう。鈍い痛みに、私はこっそりお腹を押さえる。
でも。
吉見さんが誤解されるのは、いい気分じゃない。誤解されたまま前職を辞めて、こっちでも誤解されるなんて、私が嫌だ。
「吉見さんは無愛想だし、言葉も……足りないところがあるかもだけど。適当な言葉で言い逃れをするひとじゃないよ。それに花梨ちゃんだって、フラれたからそう言ってみただけで、本心じゃないでしょ?」
「……陽彩さん、すごい」
花梨ちゃんが食べる手を止めた。
ぽかんと私を見る。
その目が徐々にキラキラしていくから、たじろいでしまった。
「え、どうしたの?」
「だって、陽彩さんは相手のよさを全面的に信用しているってことですよね? わたし、陽彩さんに一生ついていきますっ!」



