「よっ、吉見さん、身がプリプリ! プリップリだよ!」
さっくりとした衣に包まれた車海老の身は驚くほど弾力があって、噛みしめると旨味がじんわりと染み出す。
頭の部分はカリカリで、軽い食感がたまらない。
私はぐいーっとビールを呷る。この開放感と幸福よ。
続いて六月という季節らしい、グリーンアスパラガスを丸ごと一本。薄衣に包まれたそれは、宝石みたいに鮮やかな色を放っている。
マヨネーズと七味をお供にして葉を立てると、ぷつっという音が弾けて、穂先の甘みがあとから追いかけてきた。
「吉見さん! アスパラ甘いんだけど! ねえ!」
鱚の紫蘇巻きが現れたときには、もうその見た目だけで私もとろけそう。
上品な味と、ふわふわの食感。大葉の爽やかな香りが鼻から抜ける。
梅肉を少し乗せて食べるとさっぱりといただけて、これはいくらでも食べれそう。
「吉見さん! 鱚が口の中でふわっと崩れるの、最高なんだけど!? 私、もう二本ずつにしてもいい? ビールが進みすぎる」
そのあとも豚ヒレ肉、賀茂茄子の田楽、帆立の磯辺揚げにとうもろこし、と美味しいのパレードが盛大に執り行われていく。
美味しいが止まらなくて、私の目も普段より二割増しに大きくなっているに違いない。
「吉見さんっ、どうしよう! こんなに美味しいものが世の中にあるなんて、涙が出そう! 出会えてよかった……」
「……串揚げで感動する人間を初めて見た」
ぽつりとつぶやきが耳に届いて、はっとして隣を見ると吉見さんと目が合った。
たちまち羞恥が頬まで駆けあがった。
「うわぁ、われを忘れてた……うるさかったよね、ごめん」
「目白さんが謝る必要はないだろ。好きに食えば?」
「でも、それで一緒に食べるひとが楽しくなくなるのは、本末転倒なので」
興奮して暴走気味だった心が、みるみる萎んでいく。
「いや、楽しいけど」
さっくりとした衣に包まれた車海老の身は驚くほど弾力があって、噛みしめると旨味がじんわりと染み出す。
頭の部分はカリカリで、軽い食感がたまらない。
私はぐいーっとビールを呷る。この開放感と幸福よ。
続いて六月という季節らしい、グリーンアスパラガスを丸ごと一本。薄衣に包まれたそれは、宝石みたいに鮮やかな色を放っている。
マヨネーズと七味をお供にして葉を立てると、ぷつっという音が弾けて、穂先の甘みがあとから追いかけてきた。
「吉見さん! アスパラ甘いんだけど! ねえ!」
鱚の紫蘇巻きが現れたときには、もうその見た目だけで私もとろけそう。
上品な味と、ふわふわの食感。大葉の爽やかな香りが鼻から抜ける。
梅肉を少し乗せて食べるとさっぱりといただけて、これはいくらでも食べれそう。
「吉見さん! 鱚が口の中でふわっと崩れるの、最高なんだけど!? 私、もう二本ずつにしてもいい? ビールが進みすぎる」
そのあとも豚ヒレ肉、賀茂茄子の田楽、帆立の磯辺揚げにとうもろこし、と美味しいのパレードが盛大に執り行われていく。
美味しいが止まらなくて、私の目も普段より二割増しに大きくなっているに違いない。
「吉見さんっ、どうしよう! こんなに美味しいものが世の中にあるなんて、涙が出そう! 出会えてよかった……」
「……串揚げで感動する人間を初めて見た」
ぽつりとつぶやきが耳に届いて、はっとして隣を見ると吉見さんと目が合った。
たちまち羞恥が頬まで駆けあがった。
「うわぁ、われを忘れてた……うるさかったよね、ごめん」
「目白さんが謝る必要はないだろ。好きに食えば?」
「でも、それで一緒に食べるひとが楽しくなくなるのは、本末転倒なので」
興奮して暴走気味だった心が、みるみる萎んでいく。
「いや、楽しいけど」



