吉見さんの「下調べ」はあの段階で準備するレベルを大きく超えていたから。
それに私が一緒に行った現地調査のときも、彼の動きかたはすでに施工の段階まで踏まえたものだった。
私がこれまで一緒に組んだ設計部のひとは、成約してから検討していたのに。
『あとになって「やっぱりできません」とクライアントを突き放す要因は、少しでも潰す。それがクライアントのためだろ』
ほかのひととの考えかたの違いに、ハッとしたっけ。
それまでは、できないと判明したときに、いかに対応するかばかりを検討していたから。
「なんでも無駄、無駄って言われるのはいい気分じゃないんですけど。断捨離男かよって、心の内でツッコむときもありますし」
ほかにも言葉をぶつ切りにする話しかたとか、常に冷めた感じの表情とか。ツッコミたい。
私がどうしようと気にもかけない態度とか……あ、これはありがたいときもあるけれど。主に食事に関して。
「でも、ひとより細かい点まで想定して準備する姿を見ると、そのときになってから対応する私みたいなやりかたが、まだるっこしく見えるのもしかたないのかなって」
打ち合わせをしたとして、すでに吉見さんの中では検討し尽くして結論まで出ているものを、ただ説明するだけの場になってしまう。
そう気づいてから、吉見さんと打ち合わせをするときには、新しい材料を必ず用意するようになった。
おかげでこれまでの仕事とは違う緊張感があるけれど、その分、よいものができる予感もすごくある。
わくわくする。
吉見さんの仕事への姿勢に、背筋がピンと伸びる気分。
「どちらも一長一短だろうがな。だがま、上手くやれそうでよかったよ。今回は、おひよの面倒見のよさを見込んで、設計から指名されてのバディだからな」
「そうなんですか? 初耳です」
それに私が一緒に行った現地調査のときも、彼の動きかたはすでに施工の段階まで踏まえたものだった。
私がこれまで一緒に組んだ設計部のひとは、成約してから検討していたのに。
『あとになって「やっぱりできません」とクライアントを突き放す要因は、少しでも潰す。それがクライアントのためだろ』
ほかのひととの考えかたの違いに、ハッとしたっけ。
それまでは、できないと判明したときに、いかに対応するかばかりを検討していたから。
「なんでも無駄、無駄って言われるのはいい気分じゃないんですけど。断捨離男かよって、心の内でツッコむときもありますし」
ほかにも言葉をぶつ切りにする話しかたとか、常に冷めた感じの表情とか。ツッコミたい。
私がどうしようと気にもかけない態度とか……あ、これはありがたいときもあるけれど。主に食事に関して。
「でも、ひとより細かい点まで想定して準備する姿を見ると、そのときになってから対応する私みたいなやりかたが、まだるっこしく見えるのもしかたないのかなって」
打ち合わせをしたとして、すでに吉見さんの中では検討し尽くして結論まで出ているものを、ただ説明するだけの場になってしまう。
そう気づいてから、吉見さんと打ち合わせをするときには、新しい材料を必ず用意するようになった。
おかげでこれまでの仕事とは違う緊張感があるけれど、その分、よいものができる予感もすごくある。
わくわくする。
吉見さんの仕事への姿勢に、背筋がピンと伸びる気分。
「どちらも一長一短だろうがな。だがま、上手くやれそうでよかったよ。今回は、おひよの面倒見のよさを見込んで、設計から指名されてのバディだからな」
「そうなんですか? 初耳です」



