湯を沸かしてコーヒーの用意をしていると、トースターが鳴る。取り出したパンは悲しいかな、中央が焦げていた。
陽彩のようには、上手くいかないらしい。
これまで料理なんてしてこなかったのだから、当然といえば当然だが。
少々情けない思いで焦げたトーストと固まりかけた目玉焼き、コーンスープを木のトレイにセットする。
と、ゆるいスウェットにショートパンツ姿の陽彩が起きてきた。まだ眠気の残るぼんやりとした様子だ。
「……おはよ。お腹が空いて目が覚めちゃった」
気まずげにしているのは、寝坊したからだろうか。それとも、さんざん喘いだあとだからか。
どちらにしても、抱きしめたくなって困る。俺は空咳で雑念を吹き飛ばす。
「はよ。疲れは?」
「え! そこ聞くの? ここまで歩くのもよたよたしたんだからね?」
「ばあちゃんか」
「一希が主犯で実行犯なのに。……あれ、バターの匂いが……え!?」
陽彩が目を丸くしてキッチンに入ってくる。
あとはテーブルに運べばいいだけにした朝食に気づくと、陽彩が俺に抱きついた。
「これ一希が作ったの!? うわぁ、すごく美味しそう! ね、早く食べよ!」
「引っつかれたら運べない」
「断腸の思いで引き剥がしました」
そう言うわりには陽彩は俺からあっさり離れ、誰が見てもそうとわかるほどはしゃいでトレイを運ぶ。
俺も苦笑して自分のトレイを運んだ。
「いただきます」
席についた陽彩はていねいに手を合わせると、さっそく俺の料理ともいえない料理に口をつけた。
「感動する……!」
「いや、正直に言ってくれていいから。失敗した自覚はある」
「そうじゃなくて。一希が私のために作ってくれたっていうだけで、ご馳走なの! めちゃめちゃ美味しい!」
陽彩がみるみる俺の料理を口に運んでいく。
いつもながら、清々しい食べっぷりだ。
陽彩のようには、上手くいかないらしい。
これまで料理なんてしてこなかったのだから、当然といえば当然だが。
少々情けない思いで焦げたトーストと固まりかけた目玉焼き、コーンスープを木のトレイにセットする。
と、ゆるいスウェットにショートパンツ姿の陽彩が起きてきた。まだ眠気の残るぼんやりとした様子だ。
「……おはよ。お腹が空いて目が覚めちゃった」
気まずげにしているのは、寝坊したからだろうか。それとも、さんざん喘いだあとだからか。
どちらにしても、抱きしめたくなって困る。俺は空咳で雑念を吹き飛ばす。
「はよ。疲れは?」
「え! そこ聞くの? ここまで歩くのもよたよたしたんだからね?」
「ばあちゃんか」
「一希が主犯で実行犯なのに。……あれ、バターの匂いが……え!?」
陽彩が目を丸くしてキッチンに入ってくる。
あとはテーブルに運べばいいだけにした朝食に気づくと、陽彩が俺に抱きついた。
「これ一希が作ったの!? うわぁ、すごく美味しそう! ね、早く食べよ!」
「引っつかれたら運べない」
「断腸の思いで引き剥がしました」
そう言うわりには陽彩は俺からあっさり離れ、誰が見てもそうとわかるほどはしゃいでトレイを運ぶ。
俺も苦笑して自分のトレイを運んだ。
「いただきます」
席についた陽彩はていねいに手を合わせると、さっそく俺の料理ともいえない料理に口をつけた。
「感動する……!」
「いや、正直に言ってくれていいから。失敗した自覚はある」
「そうじゃなくて。一希が私のために作ってくれたっていうだけで、ご馳走なの! めちゃめちゃ美味しい!」
陽彩がみるみる俺の料理を口に運んでいく。
いつもながら、清々しい食べっぷりだ。



