再会は小さなぬくもりと一緒に

「良く思われたくて、すごく頑張ってた気がするんだ」
「うん」
「家のことも、成績も、将来も。全部ちゃんとしてないと、会社を背負えないって意気込んでいた気がする。それでないと認めて貰えない気がして」

彼の声は静かで、どこか遠くに聞こえる。

「そんなに頑張らなくても、あなたは素敵だったよ」

そう言うと、彼は照れたように首を傾けて笑った。

「当時はさ、莉佳子の前でも完璧にしなきゃって……“全部を完璧にしてから迎えに行く”って、勝手に決めてた」

伏し目でそう言う姿に、胸が少し痛んだ。

「札幌行きが決まった時、正直すごく焦ってたんだ」

その言葉に大きく心臓が跳ねる。

「成果を出して帰ってくるって、言うべきだった。でも……それよりも、莉佳子と離れる方が辛いって思って。それをどう言えばいいか分からなくて……結果、『大学辞めて一緒に来て』なんて言葉しか出てこなかった」

次の瞬間、強い風が通り抜けた。

「もうちょっと素直にさ」
彼は呼吸を整えるように、小さく息を吸った。

「『淋しい』って言えばよかったんだよね『側にいて欲しいんだ』って、言えばよかった。ちゃんと親にも、心に決めた人がいるって伝えておけばよかった」

その声には、はっきりと後悔が滲んでいた。
私は、しばらく何も言えなかった。