再会は小さなぬくもりと一緒に

気まずい空気を抱えたまま、私たちは家に帰ってきた。
玄関を開けると、待ってましたと言わんばかりにハルが寄ってくる。その隣には、いつの間にかすっかり慣れた様子のリリー。

二匹並んでちょこんと座り、おやつの棚を見上げている角度はピッタリと一緒。


「……そっくり」

思わず呟くと、晴和さんが小さく笑った。
「ハルみたいな食いしん坊にはなるなよ〜」と意地悪そうに言った。


おやつのボーロを手であげていると、彼がぽつりとさっきよりも低い口調で口を開いた。

「……こんなこと言うのもなんだけどさ」
少し間が空いた。

「響貨川プロジェクトが軌道に乗ったのと、前の案件の問題もあって……たぶん、すぐイノーシングに戻ることになると思う」

「……そうですか」
できるだけ感情を込めずに返すと、彼は何か言いたげに口を開きかけて、閉じた。

「あのさ、今日……」

言葉に詰まる気配を背中で感じる。
私は振り向かず、そのまま彼との会話を続ける。

「札幌に行かなかったら、原さんとの縁談、受けてた?」

「そんなことはない。美月は昔からの友達で……」

「そういえば」

棚におやつを仕舞いながら、淡々と口にする。

「私、あなたの友達に誰一人会ったことないね」

彼は何も言わず、口を噤む。