私は大学一年の終わり、学生寮に入ることになった。
父の転勤が決まって、私一人が東京に残ることになったからだ。まだまだ祖父は自宅でバリバリ仕事をしていたので、一緒に住むのは考えていなかった。
寮に入ったのは、大学の近くで一人暮らししようとすると、目玉が飛び出るぐらいの金額になってしまうから。だから寮に入っている女の子は多い。
「……一人暮らし、してほしかったな」
寮の決まりで人を呼べないこと、門限があることをつたえると、不満を隠そうともしなかった。
「だってあの辺りとか、一人暮らしの物件わりとあるんじゃない?」と言っていたが、だから目玉が飛び出る金額になるんだって!と言おうとしても彼には理解されそうにもなくて止めた。
さらに二年生になる頃、早くも就職を見据えて動く私を『何で?』という目で見ていた。特に第一希望だった今の会社の長期インターンが決まって喜んでいる私に、彼はばっさり切り捨てるように言った。
「意味ないのに」と。
「いや、だって私の第一志望だし。どんな雰囲気なのかも見てみたいし」
「見てどうすんの?」
「ほら、仕事内容もそうだし、人間関係とか……」
「そんな人間関係なんて仕事には関係ないし。職場での馴れ合いなんてくだらない。飲み会とかしてる人の気がしれない」
そううんざりとしたような口調で反論した。
その瞬間胸の奥に、ひびが入った気がした。
確かに彼にとっては、そうなのかも知れない。だって“約束された将来”があるのだから。
──この人は優しい。
でも、その優しさは、どこか上からで……私の選択を尊重していない。そんな不信感が募っていった。
そして私達が別れた決定打は、祖父からの誘いだった。
父の転勤が決まって、私一人が東京に残ることになったからだ。まだまだ祖父は自宅でバリバリ仕事をしていたので、一緒に住むのは考えていなかった。
寮に入ったのは、大学の近くで一人暮らししようとすると、目玉が飛び出るぐらいの金額になってしまうから。だから寮に入っている女の子は多い。
「……一人暮らし、してほしかったな」
寮の決まりで人を呼べないこと、門限があることをつたえると、不満を隠そうともしなかった。
「だってあの辺りとか、一人暮らしの物件わりとあるんじゃない?」と言っていたが、だから目玉が飛び出る金額になるんだって!と言おうとしても彼には理解されそうにもなくて止めた。
さらに二年生になる頃、早くも就職を見据えて動く私を『何で?』という目で見ていた。特に第一希望だった今の会社の長期インターンが決まって喜んでいる私に、彼はばっさり切り捨てるように言った。
「意味ないのに」と。
「いや、だって私の第一志望だし。どんな雰囲気なのかも見てみたいし」
「見てどうすんの?」
「ほら、仕事内容もそうだし、人間関係とか……」
「そんな人間関係なんて仕事には関係ないし。職場での馴れ合いなんてくだらない。飲み会とかしてる人の気がしれない」
そううんざりとしたような口調で反論した。
その瞬間胸の奥に、ひびが入った気がした。
確かに彼にとっては、そうなのかも知れない。だって“約束された将来”があるのだから。
──この人は優しい。
でも、その優しさは、どこか上からで……私の選択を尊重していない。そんな不信感が募っていった。
そして私達が別れた決定打は、祖父からの誘いだった。



