再会は小さなぬくもりと一緒に

「……器用だな、ハル」

いや、今は感心してる場合ではない。

「と、とりあえずハル!こっち」

私たちは協力して、リリーをサークルの中へ。
ハルは名残惜しそうに前足を伸ばしていたけれど、今夜はここまでだ。

「大丈夫かな」
「心配だな」

とりあえずリリーの安全は確保されたので、一安心。緊張が解けたせいか、どっと疲れが出た。
時間も遅くなっていたので、簡単な夕飯をつまみに、二人でお酒を飲むことにした。
『祝杯用として用意していた』という晴和さんが用意していたワインを開けてグラスを傾けながら、静かな時間が流れる。

「……そういえば」
 
私は、忘れていなかった。
「晴和さん前は『職場での馴れ合いなんてくだらない。飲み会とかしてる人の気がしれない』とか言ってましたよね」

彼は項垂れたようにため息をついて、首を傾ける。

「あの頃は、俺も甘かったんだ」
晴和さんはグラスを見つめたまま、続ける。
「札幌に行ってさ、そこでやっと、会社で働くってどういうことか分かったんだよ。今思うと……君に随分わがままも言ったし、世間知らずの坊っちゃんだったなって自分でも思う」

苦笑混じりの息を吐くと、上目で私を見つめる。

「もし、あの時それに気付いてたら……莉佳子を失わなかったのかなぁ」

その言葉が胸に落ちて、波紋を広げる。
答えられないまま、私はグラスを口に運んだ。

そのまま何も答えられずにいると、気付くと彼は机に突っ伏して寝息を立てていた。
なんだか寝顔を見るのは新鮮だな、なんて思っていると私もそのまま眠ってしまったらしい。