再会は小さなぬくもりと一緒に

そして一旦帰宅した私達は、時間ぴったりに動物病院の受付に立っていた。

随分軽いキャリーの中から、小さく「にゃ」と不安そうな聞こえる。

「咲倉さん、お名前決まりましたか?」

受付の人の問いに、あっと思い出して狼狽える。
何も考えてなかった。

「リリーです」
彼がそう口を出すと、「わかりました、リリーですね」と受付の人は淡々と事務的な処理をしている。

「ずっと考えてたんだよね」
「ずっと?」
「うん」

そう言いながらキャリーを覗き込む晴和さんの目は、やけに優しい。きっと随分考えたのだろう。

診察は思ったよりもあっさり終わった。
健康診断の結果は問題なし。感染症の心配もない。

「もうハルと一緒にしても大丈夫だよ」

 先生のその一言に、ようやく肩の荷が降りた。

「ただ……念のため、来週もう一度来てくれる?」
「はい、もちろんです」

晴和さんが即答するのを横で聞きながら、私はリリーに視線を落とした。
普通は嫌がる病院を、よく頑張ったねと褒めてあげたい。


家に戻ると、とりあえずリリーの入ったキャリーを一旦リビングに置いた。
今夜はサークル越しにハルと対面させて、様子を見る予定だ。

「サークル二階から持ってきますね」
「あ、俺が重いの持つよ」

二人で二階に上がり、サークルを下ろす準備をしていると──

「二ャァァーッ!」

甲高い叫び声が響く。

「な、何!?」
私の声と晴和さんの声が、きれいに重なった。
慌ててリビングに戻ると、そこには信じられない光景があった。
キャリーの扉が開いている。
そして部屋の隅で、リリーが小さく丸まり唸っている。それにハルが興味津々といった様子で近づいていた。