会議は終始和やかだった。
新ブランドの立ち上げ、そして新本社移転先としての響貨川プロジェクト。
条件も方向性もリュミエール側の条件にぴったりと合い、響貨川プロジェクトの目玉になれると言っていいだろう。
「ぜひ、前向きに協力したいわ」
「ありがとうございます」
晴和さんの声は落ち着いている。
けれど、どこか慎重すぎるようにも感じた。
「そうだわ」
貴恵さんが思い出したように微笑む。
「近いうちに、みんなで食事に行きましょう」
晴和さんの表情が、一瞬だけ硬くなる。
ほんの一瞬。見逃そうと思えば見逃せる程度なのに、その変化に気づいてしまった。
「……予定を確認して、改めてご連絡します」
絞り出したようなその声は、いつもより少し低い。
知っている。双方に私が知らない過去があることも。
それでも──小さな違和感が残った。
時間が迫っていて、私たちはそのまま辞去することになった。エレベーターが閉まる直前、貴恵さんの変わらない笑顔が見える。
「……はぁ」
晴和さんが大きく息を吐くと、前髪をかき上げた。
「やっぱり連れてくるんじゃなかったな」
山下さんへの対応がまずかったのか。
いや結構和やかだったはずだ……でも何かをミスしたのかと不安になる。
「予想以上に気に入られちゃったな」
不満を漏らした彼の顔は、ほんの少しだけ可愛く思えたのはここだけの話にしておこうと思う。
新ブランドの立ち上げ、そして新本社移転先としての響貨川プロジェクト。
条件も方向性もリュミエール側の条件にぴったりと合い、響貨川プロジェクトの目玉になれると言っていいだろう。
「ぜひ、前向きに協力したいわ」
「ありがとうございます」
晴和さんの声は落ち着いている。
けれど、どこか慎重すぎるようにも感じた。
「そうだわ」
貴恵さんが思い出したように微笑む。
「近いうちに、みんなで食事に行きましょう」
晴和さんの表情が、一瞬だけ硬くなる。
ほんの一瞬。見逃そうと思えば見逃せる程度なのに、その変化に気づいてしまった。
「……予定を確認して、改めてご連絡します」
絞り出したようなその声は、いつもより少し低い。
知っている。双方に私が知らない過去があることも。
それでも──小さな違和感が残った。
時間が迫っていて、私たちはそのまま辞去することになった。エレベーターが閉まる直前、貴恵さんの変わらない笑顔が見える。
「……はぁ」
晴和さんが大きく息を吐くと、前髪をかき上げた。
「やっぱり連れてくるんじゃなかったな」
山下さんへの対応がまずかったのか。
いや結構和やかだったはずだ……でも何かをミスしたのかと不安になる。
「予想以上に気に入られちゃったな」
不満を漏らした彼の顔は、ほんの少しだけ可愛く思えたのはここだけの話にしておこうと思う。



