再会は小さなぬくもりと一緒に

そして電車に揺られること15分、リュミエールの本社に到着した。
大規模なオフィスビルの一角にあり、エレベーターを降りてエントランスに足を踏み入れた瞬間、私は小さく背筋を伸ばした。

リュミエールの社長は山下貴恵さん。
前社長の兄から事業を引き継ぎ、リュミエールを大きく成長させた人である。

直接話すのは初めてだけれど、気さくでサバサバとした明るい雰囲気なのは知っている。そしてその通りの人が、私達を迎えた。

「いらっしゃい。お待ちしていました」
実際に話す彼女は、見た目よりも可愛らしさを残した雰囲気なのに驚いた。
私を見る目も随分と柔らかくて、確かに“女の子が好き”なのだろうなと納得する。


「久しぶりね、晴和君」
「ご無沙汰しております、山下さん」

自然に交わされる名前呼びは、やはり独自の空気がある。昔経験したような……ちょっとした壁のような空気。


「咲倉莉佳子です。本日はお時間をいただき、ありがとうございます」
「まぁ……」
 貴恵さんの視線が私に向いた瞬間、さっきと違いぱっと表情が華やぐ。

「今日は女の子の部下を連れてくると聞いて楽しみにしていたの。晴和君、可愛い部下を持ったわね」

「……仕事もできるので、ね」

ぶっきらぼうな返事。なぜか突き放すような言い方が、少しだけ引っかかった。
──あのことを知られたくない?
そんな考えが浮かんで、自分で打ち消す。