再会は小さなぬくもりと一緒に

──そして数日が経った。

「咲倉さん、こちらお願いしていいですか?」
「あ、はい。あと先程いただいたこちらチェックお願いします」
「早いね、ありがとう」

彼とは表面上は普通に、仕事の上司として接していた。
特に雑談もすることはなく、話をするのは業務連絡のみ。
いやむしろそうしなければいけないほど仕事が切羽つまっていると言った方がいいかも知れない。

動き始めた新プロジェクト『響貨川再開発プロジェクト』は、ターミナル駅でありながら古く使い勝手の悪い響貨川駅周辺を一気にリニューアルするプロジェクト。駅直結のショッピングセンターを作り、ロータリーを整備する計画で、構想から十年以上が経ちようやく動き始めた、会社がずっと待ち望んでいたプロジェクトだった。

私は新卒三年目なので、新人を指導しつつも下っ端の方。毎日どちらかと言えば雑務やサポートの業務をひたすらこなしていた。


だから正直彼と、どうにかなるなんて考えが浮かばないほど慌ただしい毎日だった。
彼がいつまでここに居るのかはわからないが、特に仕事以外の会話も交わさずに──と言うか上の立場である彼とは、そこまで深く会話をする機会もないので このまま平凡な毎日に埋もれてしまえばいい。
彼の未練も一緒に埋もれてしまえばいい。

そう思っていた、のだが。



(何だろう?知らない番号だな)
仕事の終わり、一件の不在着信に気付く。
間違い電話やセールスかも知れないが、一抹の不安が胸を過ぎる。
録音された留守電を聞くと、私は大急ぎで会社を後にした。