再会は小さなぬくもりと一緒に

私もいただきますと手を合わせて、買ってくれたからあげの弁当を食べ始めた。


「あの子猫だけど、やっぱりさ、多少は猫社会の勉強をさせた方がいいのかなとは思ってるんだよね」

「そうですね。でもハルで勉強になるかはわかりませんが」

そう言ってハルをちらっと見ると、ふてぶてしさ全開の表情でこちらを見ていた。貰えないことを悟ったよう。

「それに相性が悪いってなったら、早めに離した方が良いと思いますけどね」

「まぁ、ともかく考えるのは、俺の新居が決まったらだね」

「本当にこの近くに住む予定なんですか?」

「うん。でもなかなかペット可だと難しいね」

 そう言いながら、彼はお弁当のから揚げを口の中にほおばる。

「いっそ分譲のマンション買おうかな、って思ってる」

──さすが御曹司。
心の中で悪態をつきながら、大きく息を吐いた。

「いいんじゃないですか?この辺なら買い物にも苦労しないし、生活しやすいですよ。緑は少ないですけど」

「でもペット可はファミリー向けばっかりなんだよね」

「別に今のうちに買って、結婚後も住めばいいじゃないですか。そのうち結婚しますよね?」

皮肉で言ったつもりだった。
けれど、彼の返事は少しだけ予想外だった。

「それで、『じゃあ私が一緒に住みましょうか?』とかは言ってくれないんだ」

彼は意味深な笑みを浮かべて、私をじっと見つめる。
冗談のはずだけど……冗談にも思えなくて、困惑する。

私ははぁ、と息を吐いて箸を置いた。

「……何で一緒に住まなきゃいけないんですか。今の状況だって、変なのに」

「俺はすごくうれしいんだけどね」

その言葉を、私は聞こえなかったことにした。
代わりに小さく「ごちそうさま」と呟く。


「今日も上で寝てくださいね」
なるべく距離を開けるように、私は彼に背を向けて立つ。
そして何も聞かなかったことにして、シンクの前でお弁当の容器を洗うことにした。