そして祖父の病室を後にすると、彼は一度「荷物を取ってくる」と言って私と別れた。
(あー何でこうなったかな……)
いや、そもそもだが、彼は私のことをどう思っているのかが分からない。
大昔、私が彼に別れを告げた時、彼は怒りもせず、引き留めもしなくて……一切の感情を見せなかった。
また再会した時も、ただいつもの顔で笑うだけ。首を傾けるいつもの仕草は、私の扱いに困っているという風にも見えた。
だから今更彼と、どうにかなるなんてことは無いだろう。だからこそ、どういう感情で私と接しているのかが分からなくて、正直苦しい。
そして祖父の家に帰宅した。
いつも通りハルの相手をして、餌を出した隙に階段を上がった。
「にゃー」
可愛らしく柵の向こうで丸まっている子猫。
きちんとご飯も食べて、トイレもきちんと粗相せずに済ませている。
まだまだ『借りてきた猫』状態なのかも知れないけれども、こんなに手のかからない猫も珍しいのでは?と思うほど。
「これはさっさと伊賀上さんにこの子を連れて行って……」
「俺が何?」
不意に彼の声がして驚き飛び上がる。
いつの間にか彼が部屋の中に居た。
「いや、あのー……手がかからなそうな子なので、伊賀上さんに早く連れてって貰っても大丈夫かなぁなんて、ははは」
何かを言いたそうな顔をしていたが、その言葉を飲み込むように、彼は大きく息を吐いた。
「確かに手がかからない子だよね。でも何かさ、媚びてるようにも見えるよね」
彼が子猫に手を差し出すと、自ら顔を近づけて顔を擦りつけてきた。人慣れしているにしても、慣れ過ぎではないだろうかとも思う。
「でもさ、これも縁だから……大切にしたいよね」
じゃれつく子猫を、彼は微笑みながら見つめていた。
過去の彼の顔が重なって、胸にチクリと針が刺さる。
(あー何でこうなったかな……)
いや、そもそもだが、彼は私のことをどう思っているのかが分からない。
大昔、私が彼に別れを告げた時、彼は怒りもせず、引き留めもしなくて……一切の感情を見せなかった。
また再会した時も、ただいつもの顔で笑うだけ。首を傾けるいつもの仕草は、私の扱いに困っているという風にも見えた。
だから今更彼と、どうにかなるなんてことは無いだろう。だからこそ、どういう感情で私と接しているのかが分からなくて、正直苦しい。
そして祖父の家に帰宅した。
いつも通りハルの相手をして、餌を出した隙に階段を上がった。
「にゃー」
可愛らしく柵の向こうで丸まっている子猫。
きちんとご飯も食べて、トイレもきちんと粗相せずに済ませている。
まだまだ『借りてきた猫』状態なのかも知れないけれども、こんなに手のかからない猫も珍しいのでは?と思うほど。
「これはさっさと伊賀上さんにこの子を連れて行って……」
「俺が何?」
不意に彼の声がして驚き飛び上がる。
いつの間にか彼が部屋の中に居た。
「いや、あのー……手がかからなそうな子なので、伊賀上さんに早く連れてって貰っても大丈夫かなぁなんて、ははは」
何かを言いたそうな顔をしていたが、その言葉を飲み込むように、彼は大きく息を吐いた。
「確かに手がかからない子だよね。でも何かさ、媚びてるようにも見えるよね」
彼が子猫に手を差し出すと、自ら顔を近づけて顔を擦りつけてきた。人慣れしているにしても、慣れ過ぎではないだろうかとも思う。
「でもさ、これも縁だから……大切にしたいよね」
じゃれつく子猫を、彼は微笑みながら見つめていた。
過去の彼の顔が重なって、胸にチクリと針が刺さる。



