「すごい仲良くなったね」
「正直私も驚いてます」
チビの隔離が解けてからまだ一週間ほど。
最初こそシャーシャー言ってたこゆきだったが、なぜか存分に新入りのチビを甘やかし、面倒を見るようになっていた。
「多分だけど、こゆきは野良時代に赤ちゃん産んだことあるみたから、母性本能なのかもって思ってます」
野良猫だったこゆきを拾った頃、前に子猫を連れているのを見たという人がいた。だけど保護をした時には連れている様子はなく、恐らくだけど──死んでしまった可能性は高いとのことだった。
もうこゆきは老猫だから仲良くなれないだろうと思っていたけれど、昔のことを覚えていて、それで面倒を見ているのかも知れないなと思っている。
「まだチビも甘えたいんだろうし、こゆきが母親代わり……あー!!」
チビをなでなでしていた彼に腹が立ったのだろうか。
こゆきは立ち上がると、あろうことか彼のズボンにおしっこをかけた。
「ど、どうしよう」
お怒り気味なのか、尻尾がボンと膨らませ、睨んでいるこゆき。
彼のズボンは太ももからTシャツの裾にかけてくっきりとおしっこの跡と、臭いもはっきりと漂う。
「ええっと、乾燥まで回せば終電までにはって、着替えあったかな……?」
「あ、じゃあ駅前の服屋まだ開いてるから買ってきてくれない?」
駅前のビルには服の量販店が入っている。「これとこれのLサイズでいいから」とアプリで購入画面を見せてくれたので、私は急いで買いに行った。
そして帰ってくると、二匹はすっかりと食べ終わっており、彼が皿を片付けていた。
「すいません、買ってきました……」
「あぁごめんね、ありがとう」
「いや、いくら事故とは言え申し訳ない!おじいちゃんに請求して!!」
そう言うと彼は大口開けて笑った。
「いやー俺もこゆきを甘く見てたよ」と。
「じゃぁ着替えさせてもらうね」
彼がその場で服を脱ぐものだから、私は焦って顔を隠した。
「あ、ごめんね」
「……いえ」
「俺は気にしないからさ」
いや、そんなことを言われても!と焦る。男の人の裸なんて、父でも見る機会はない。しかも憧れている彼、なのだから。
「耳が真っ赤だね」
彼が面白半分なのだろう。ニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべて迫ってくる。
私は反射的に俯くが、彼は私の顎を親指でそっと持ち上げた。
「少しは意識してくれている?」
強制的に合わされた瞳の中に、顔が真っ赤な私が映っていた。
「俺さ、莉佳子ちゃんがずーっと気になってたんだ……キス、していい?」
返事をするより前に、彼の唇が迫ってくる。ぎゅっと目を閉じた真っ暗な世界には、唇の温もりだけが残っていた。
これが忘れらないファーストキスで……まだ恋なのかわからないけれど、トキメキに舞い上がっていた頃の話だ。
「正直私も驚いてます」
チビの隔離が解けてからまだ一週間ほど。
最初こそシャーシャー言ってたこゆきだったが、なぜか存分に新入りのチビを甘やかし、面倒を見るようになっていた。
「多分だけど、こゆきは野良時代に赤ちゃん産んだことあるみたから、母性本能なのかもって思ってます」
野良猫だったこゆきを拾った頃、前に子猫を連れているのを見たという人がいた。だけど保護をした時には連れている様子はなく、恐らくだけど──死んでしまった可能性は高いとのことだった。
もうこゆきは老猫だから仲良くなれないだろうと思っていたけれど、昔のことを覚えていて、それで面倒を見ているのかも知れないなと思っている。
「まだチビも甘えたいんだろうし、こゆきが母親代わり……あー!!」
チビをなでなでしていた彼に腹が立ったのだろうか。
こゆきは立ち上がると、あろうことか彼のズボンにおしっこをかけた。
「ど、どうしよう」
お怒り気味なのか、尻尾がボンと膨らませ、睨んでいるこゆき。
彼のズボンは太ももからTシャツの裾にかけてくっきりとおしっこの跡と、臭いもはっきりと漂う。
「ええっと、乾燥まで回せば終電までにはって、着替えあったかな……?」
「あ、じゃあ駅前の服屋まだ開いてるから買ってきてくれない?」
駅前のビルには服の量販店が入っている。「これとこれのLサイズでいいから」とアプリで購入画面を見せてくれたので、私は急いで買いに行った。
そして帰ってくると、二匹はすっかりと食べ終わっており、彼が皿を片付けていた。
「すいません、買ってきました……」
「あぁごめんね、ありがとう」
「いや、いくら事故とは言え申し訳ない!おじいちゃんに請求して!!」
そう言うと彼は大口開けて笑った。
「いやー俺もこゆきを甘く見てたよ」と。
「じゃぁ着替えさせてもらうね」
彼がその場で服を脱ぐものだから、私は焦って顔を隠した。
「あ、ごめんね」
「……いえ」
「俺は気にしないからさ」
いや、そんなことを言われても!と焦る。男の人の裸なんて、父でも見る機会はない。しかも憧れている彼、なのだから。
「耳が真っ赤だね」
彼が面白半分なのだろう。ニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべて迫ってくる。
私は反射的に俯くが、彼は私の顎を親指でそっと持ち上げた。
「少しは意識してくれている?」
強制的に合わされた瞳の中に、顔が真っ赤な私が映っていた。
「俺さ、莉佳子ちゃんがずーっと気になってたんだ……キス、していい?」
返事をするより前に、彼の唇が迫ってくる。ぎゅっと目を閉じた真っ暗な世界には、唇の温もりだけが残っていた。
これが忘れらないファーストキスで……まだ恋なのかわからないけれど、トキメキに舞い上がっていた頃の話だ。



