再会は小さなぬくもりと一緒に

「い、いたぁ……」

翌朝、私はハルのボディアタックにより目を覚ました。
でーんとお腹の上に陣取り、怒ったように睨んでいるのは、餌の催促だろう。
私は仕方なく起き上がると、台所の戸棚を開けてカリカリを出した。

「おはよう、莉佳子」

ハルの食べる様子を見ていると、背後から声がしてびくっと震えた。

「おはようございます……」
「何で顔隠すの?」
「メイクしてないんです!」

すっぴんだけは見られたくないので、必死に顔を隠すが……彼は私をじーっと見る。


「してなくても、莉佳子は可愛いよ」

そんなこと言われると、顔から火が噴き出そうだ。

「冗談やめて……」
「冗談じゃないよ、可愛いよ」

私は顔を向けられず、洗面所へダッシュで向かった。
そして一通りメイクを終えると、なぜかキッチンからいい匂いがしてくる。

「朝食、俺が作ってるから食べて」

彼がフライパンで、卵を焼いているようだった。じゅうじゅうと焼けるいい音が響いている。
ありがたくいただくことにして、向かい合って朝食を食べた。

向かい合う彼は、ワイシャツではあるけれど髪をセットしていないラフな姿だ。
朝のぼんやりとした表情がまた色っぽく見えてしまい、不覚ながら胸がドキリとなる。


「あのさ、ここから会社まで一本だよね」
「ああ、はいそうです。電車で行くんですか?」
「うん。三十分かかるよね?」
「それぐらいですね。十五分の電車に乗れば間に合いますよ」
「じゃぁそれぐらいに出ようか。それであと俺は何をすればいい?」
「じゃあハルをみておいてください。食べたら上の子、見てきますね」

そして食べ終わると、早速二階へ向かった。
サークルの中の猫は昨日と打って変わり、毛布に包まれて元気にニャーニャー鳴いていた。ごはんも減っていて、トイレをしている形跡もある。一安心だろう。
とりあえずごはんを足して、トイレを取り替えるとペットの見守りカメラをセットした。

「よし、これで大丈夫」


私はちゃんと映っているかを確認すると、早速彼にカメラの使い方を教えた。

「とりあえずこのURLで、このカメラの様子が見れます」
「へぇ、これは便利だね」

見守りカメラはここ数年で導入した。祖父が出かけている間も、ハルの様子を確認できるようにしたのだ。


「とりあえずそろそろ時間です。片付けするんで先出てください」
「え、一緒に行こうよ?」
「何でですか、嫌ですよ」

当たり前だろう。普通に考えて一緒に行く意味が分からない。私はさっさと彼を追い出すと、少し時間を置いて家を出た。