再会は小さなぬくもりと一緒に

「ニァァァー!!」
「ハル!こら!通してよ!」

どうやら何度か二階と往復しているうちに、『何か』の存在に気付いたハルは、私が二階に行こうとしたところを阻止し始めた。
そろそろ湯たんぽを交換したいし、食べれそうならご飯もあげたいのに。

「ごめん、じゃあ俺が見てくるよ」
彼は準備した物を受け取ると、二階に上がっていく。その間もシャーシャー言うので困ったもんだ。いや、シャーシャー言ってるのは彼に対してなのか。とりあえず猫じゃらしでご機嫌を伺う。
そして暫くすると、彼が降りてきた。


「とりあえず大丈夫そうだよ。ご飯もちょっとだけ食べた」
「ありがとう」
「ゲージにご飯入れっぱなしだけど、置いといていいんだよね?」
「とりあえず朝、減ってる量を見て判断します」

そして彼との会話も気に入らないのか、シャーシャー唸りまくるハル。久し振りだ、こんなに大荒れしているのは。


「えっと今日、あの子どうすればいいかな?」
「一応私が隣で寝て、様子見る予定でしたけど……」

しかしこのハルの暴れようはすごく、離れられるか不安になってきた。


「じゃあ俺が見るよ」
「えっ?」
「俺、泊まるよ」

それはありがたい話だけど……正直、気まずい。
うーんと考えていると、頭にポンと手を置き、優しく撫でられた。


「大丈夫だよ、何もしないから」

その言葉に安堵すると同時に、ほんの少しだけ切なさが過ぎる。
彼にはあの過去は何でもないことだったのか、なんて思ってしまうからだ。


「じゃあ申し訳ないですが、今晩よろしくお願いします」
「それでさ、お風呂借りていいかな?それと着替えも。向こうの部屋のタンスに先生の服入ってるよね?」
「あぁ、はい。でもちょっと待ってください」

私は祖父のタンスではなく、押し入れの中のタンスから服を引っ張り出した。

「これ、返します」

私はハーフパンツと、Tシャツを彼に渡した。

──以前、彼が置いていったものだ。
今の今まで捨てられず、結局こんな形で返すなんて。

「ありがとう」


受け取った彼はほんの少しだけ、切なさが滲み出ているような感じだったけど、気のせいだと思うことにした。