紗雪モノローグ【『大好きに決まってるだろ』って…あの暴走カッパも激痛ツボ押しも、あれもこれも全部"恋愛感情"から来てたの!?うそでしょ、全然気付かなかった!だって…変すぎるでしょ!?】
〇廊下を1人で歩いく紗雪
ため息をついて浮かない表情
紗雪(あれから蒼空ともなんか上手く話せなくなっちゃった。勉強もなかなか手がつかないし…」
女性教師「あ、増村さん。ちょっといいかな?」
紗雪「はい?何でしょう?」
女性教師「実はもうすぐ校内で英語スピーチコンテストがあるんだけどね。参加者が3人ほど都合が悪くなって不参加になっちゃったの。増村さん、急で悪いんだけどよかったら参加しない?」
紗雪「えっと...」
(先生、すごく困ってそう…でも今あんまり勉強も集中できてない状態なのに…はっ!むしろ英語スピーチに向けて集中すれば、この前の告白のことも考えなくなるかも…!)
紗雪「わかりました。私でよければ参加します。」
女性教師「本当!?ありがとう!早速エントリー用紙を用意しとくわね!」
紗雪に手を振って去っていく
それと入れ替わりで蒼空が気まずそうにしながら、おずおずと話しかける
蒼空「紗雪、その…この前のことなんだが」
紗雪「蒼空!わたし英語スピーチコンテストに出ることになって忙しくなるから!じゃっ!!」
蒼空「え?コンテスト?」
紗雪(集中!集中!集中…!!)
勢いよく蒼空に宣言してその場を去っていく
紗雪モノローグ【それから私は雑念を追い払いたいがために、英語スピーチコンテストに向けて毎日特訓に励んだ】
英会話のリスニングを聞いたり、英文を考えたり、実際にスピーチ練習をしている紗雪の様子
〇英語スピーチコンテストの当日 体育館の壇上 リハーサル中
運営スタッフと大会参加者で本番の動きを確認中
スタッフ「次が増村さん。演台まで来て学年とクラス・名前を言って、スピーチ開始です。」
演台の前まで移動し、顔を上げた時に見えたのは入学式での新入生挨拶の時と同じ景色
あの時倒れた失態が頭の中でフラッシュバックして、緊張と恐怖で顔が青ざめて冷や汗が止まらなくなる
スタッフ「はい、スピーチが終わりました。そしたら一礼して…増村さん?」
一瞬リハの流れが止まるものの、声をかけられてハっと我に返り「すみません」と答えて何とか演台から離れた紗雪。青い顔のまま震える手で服の袖をつかみ、自分に言い聞かせる。
紗雪(ああ、ダメ…こんなんじゃあの時と同じことになっちゃう…絶対に、絶対にもう失敗したくないのに…!)
〇本番直前 参加者の控室
椅子に座ってうつむいている紗雪の元に、美月と大地が様子を見に訪ねてきた。
美月「紗雪ー!どんな感じ?今日バイトだから本番は見れないけど応援して…紗雪?」
大地「紗雪ちゃん?体調悪いの?大丈夫?」
紗雪「…リハーサルで、演台の前に立った時入学式で倒れたことを思い出して、頭が真っ白になりました…。本番でも同じことになったらと思うと怖くて…今日のために準備してきたもの全部無駄になっちゃう…」
美月「紗雪…」
大地「大丈夫だよ、紗雪ちゃん。もし万が一失敗してしまってもいいじゃないか。無駄になんてならない。君が今日まですごく頑張ってきたのを俺たちもみんな知ってるんだから。それくらいの気持ちでいきなよ。ね?」
紗雪「そう、ですね。ありがとうございます…」
紗雪の肩に優しく手を置く大地。大地からの優しい慰めの言葉にも紗雪は暗い顔のままでうつむいている。
バアン!!と控室の扉が勢いよく開かれる。全員が驚いて扉のほうへ振り返ると立っていたのは蒼空だった。
紗雪「蒼空…」
蒼空「遅くなってすまないな、紗雪!今回は製作に時間がかかってしまった。これを持って本番に挑むといい!!」
紗雪の手を取り、手の平サイズの何かを握らせてくる。
紗雪「あのさ、いつも言ってるけどこういうの本番で使ったりすると不正行為って思われ…何これ」
一見、「大願成就」の普通のお守りのように見えたが、中からニョキっと筆が出てきて紗雪の手のひらの上に「人」という字を3回書いてきた。
蒼空「2日徹夜してついさっき完成した紗雪専用の超リラクシングお守りだ!さあ手のひらの上の「人」を飲め!それで緊張を解きほぐして挑めれば、紗雪がミスをする道理なんて一切ないんだからな!俺は信じてるぞ。」
蒼空の言葉に紗雪は顔を上げる。さっきまでの暗い顔とは打って変わって、その瞳には光が宿っていた。
スタッフ「まもなく本番が始まるので参加者以外は退出してくださーい!」
蒼空はスタッフから追い出されるように退出し、美月と大地もそのあとを追うように退出する。
紗雪はお守りを見て呆れながらも堪えきれず笑みをこぼしていた。
口元を緩ませながら「人」を飲み込んでいる紗雪の姿を大地は退出時に確認する
大会本番では紗雪の体調が悪くなったり大きなミスをすることもなく、落ち着いた表情でスピーチを終えられた。蒼空と大地は離れた席で一部始終をそれぞれ見守っていた。
〇コンテスト後 夕暮れ時 体育館外のベンチに腰掛ける大地と紗雪
紗雪「はあああ~~終わったあ~~!」
上半身伸びをして、開放感に満ち溢れている
大地「お疲れ様、紗雪ちゃん。スピーチすごくよかったよ。」
紗雪「ありがとうございます!4位でギリギリ入賞は逃しちゃったけど良い経験になりました」
大地「落ち着いて出来てたね。蒼空君のお守り効果のおかげかな?…俺の励ましはそんなに効果無さそうだったなあ」
紗雪「いえ、そんな…ただ、ああ言ってもらうのは申し訳ないというか…」
大地「申し訳ない?」
紗雪「…はい。私はこの身体のせいで昔からできない事も多かったから"無理しなくていいよ""できないなら大丈夫"ってよく言われてきました。みんな優しさから言ってくれてるのは分かってるんです。でも…それは"期待してない""どうせ大して出来ない"って思われてるなって感じちゃって。…でも、蒼空の優しさのカタチはいつもヘンテコで意味不明だから、申し訳ないよりも怒ったり笑ったりしちゃうんですよね…まあ、怒るほうが多いけど!」
夕暮れの風に髪をなびかせながら困ったように笑う紗雪に、大地は蒼空には叶わないとこを静かに悟ってしまう
大地「…そうか。奇抜で一方通行だからこそ、他にはない絆になることもあるんだな…」
紗雪「え?なにか言いました?」
大地「いや、何も。そういえば蒼空君は部室に寄るって言ってたよ。まだいるんじゃないかな」
紗雪(正直まだ告白の一件で気まずいけど、本番前も会いに来てくれたしなあ…)
紗雪「一応、お礼言いに行っておこうかな。じゃあ、大地先輩。失礼します」
大地「…いってらっしゃい、紗雪ちゃん」
ベンチに腰かけたまま紗雪の後ろ姿を優しく微笑みながら見守る
〇下駄箱についたところで、紗雪が蒼空と鉢合う。
紗雪「あ、蒼空!あのお守りありがとうね。笑えた!」
蒼空「笑い目当てで作ったものではないが、本番はベストを尽くせているように見えた。何よりだな」
そのまま並んで学校を出る2人だが、長い沈黙が流れる。気まずさに耐えきれずに紗雪から口を開く。
紗雪「…あの、蒼空?この前の」
蒼空「あの告白の件は気にしないでくれ」
紗雪「え?」
紗雪の足が止まって蒼空が紗雪の真正面に立って向き合う2人
蒼空「紗雪は俺と一緒に医者になる。そのために俺は紗雪の体調管理と勉強環境をサポートする。だから紗雪は何も気にせずに引き続き夢を追いかけてくれ。それが俺の使命であり、望みだ。…それだけなんだ。」
無理に笑みを浮かべようとして頬がピクピクと引きつっており、瞳の奥には怯えが浮かんでいる。
その様子に違和感を感じながらも、それ以上の追求を拒んでいるように見えたので紗雪はそれ以上何も聞けなかった。
紗雪モノローグ【ただその瞳が、"告白の答えなんていらない"と強く懇願しているように見えた。】
紗雪「…うん、分かった。帰ろうか」
紗雪の返事に蒼空はホッとしたように表情が緩んだ。
紗雪モノローグ【蒼空が私を好きだというのは、おそらく嘘じゃないと思う。でも…蒼空の中でも気持ちの整理ができていないように見えた。それに私も蒼空とどうなりたいのかがまだわからない。だから今はただ、同じ夢を追う者同士として穏やかでヘンテコなこの日常を変わらず一緒に過ごしていこうと思う。】
紗雪「このお守り、なんで緑色なの?」
蒼空「もちろん緑色は癒し効果があるだからだ、他にもここを押すとヒーリングミュージックが流れたりーー」
夕暮れに染まる風景の中、いつも通りの談笑をしながら2人並んで帰路につくのだった。
〇廊下を1人で歩いく紗雪
ため息をついて浮かない表情
紗雪(あれから蒼空ともなんか上手く話せなくなっちゃった。勉強もなかなか手がつかないし…」
女性教師「あ、増村さん。ちょっといいかな?」
紗雪「はい?何でしょう?」
女性教師「実はもうすぐ校内で英語スピーチコンテストがあるんだけどね。参加者が3人ほど都合が悪くなって不参加になっちゃったの。増村さん、急で悪いんだけどよかったら参加しない?」
紗雪「えっと...」
(先生、すごく困ってそう…でも今あんまり勉強も集中できてない状態なのに…はっ!むしろ英語スピーチに向けて集中すれば、この前の告白のことも考えなくなるかも…!)
紗雪「わかりました。私でよければ参加します。」
女性教師「本当!?ありがとう!早速エントリー用紙を用意しとくわね!」
紗雪に手を振って去っていく
それと入れ替わりで蒼空が気まずそうにしながら、おずおずと話しかける
蒼空「紗雪、その…この前のことなんだが」
紗雪「蒼空!わたし英語スピーチコンテストに出ることになって忙しくなるから!じゃっ!!」
蒼空「え?コンテスト?」
紗雪(集中!集中!集中…!!)
勢いよく蒼空に宣言してその場を去っていく
紗雪モノローグ【それから私は雑念を追い払いたいがために、英語スピーチコンテストに向けて毎日特訓に励んだ】
英会話のリスニングを聞いたり、英文を考えたり、実際にスピーチ練習をしている紗雪の様子
〇英語スピーチコンテストの当日 体育館の壇上 リハーサル中
運営スタッフと大会参加者で本番の動きを確認中
スタッフ「次が増村さん。演台まで来て学年とクラス・名前を言って、スピーチ開始です。」
演台の前まで移動し、顔を上げた時に見えたのは入学式での新入生挨拶の時と同じ景色
あの時倒れた失態が頭の中でフラッシュバックして、緊張と恐怖で顔が青ざめて冷や汗が止まらなくなる
スタッフ「はい、スピーチが終わりました。そしたら一礼して…増村さん?」
一瞬リハの流れが止まるものの、声をかけられてハっと我に返り「すみません」と答えて何とか演台から離れた紗雪。青い顔のまま震える手で服の袖をつかみ、自分に言い聞かせる。
紗雪(ああ、ダメ…こんなんじゃあの時と同じことになっちゃう…絶対に、絶対にもう失敗したくないのに…!)
〇本番直前 参加者の控室
椅子に座ってうつむいている紗雪の元に、美月と大地が様子を見に訪ねてきた。
美月「紗雪ー!どんな感じ?今日バイトだから本番は見れないけど応援して…紗雪?」
大地「紗雪ちゃん?体調悪いの?大丈夫?」
紗雪「…リハーサルで、演台の前に立った時入学式で倒れたことを思い出して、頭が真っ白になりました…。本番でも同じことになったらと思うと怖くて…今日のために準備してきたもの全部無駄になっちゃう…」
美月「紗雪…」
大地「大丈夫だよ、紗雪ちゃん。もし万が一失敗してしまってもいいじゃないか。無駄になんてならない。君が今日まですごく頑張ってきたのを俺たちもみんな知ってるんだから。それくらいの気持ちでいきなよ。ね?」
紗雪「そう、ですね。ありがとうございます…」
紗雪の肩に優しく手を置く大地。大地からの優しい慰めの言葉にも紗雪は暗い顔のままでうつむいている。
バアン!!と控室の扉が勢いよく開かれる。全員が驚いて扉のほうへ振り返ると立っていたのは蒼空だった。
紗雪「蒼空…」
蒼空「遅くなってすまないな、紗雪!今回は製作に時間がかかってしまった。これを持って本番に挑むといい!!」
紗雪の手を取り、手の平サイズの何かを握らせてくる。
紗雪「あのさ、いつも言ってるけどこういうの本番で使ったりすると不正行為って思われ…何これ」
一見、「大願成就」の普通のお守りのように見えたが、中からニョキっと筆が出てきて紗雪の手のひらの上に「人」という字を3回書いてきた。
蒼空「2日徹夜してついさっき完成した紗雪専用の超リラクシングお守りだ!さあ手のひらの上の「人」を飲め!それで緊張を解きほぐして挑めれば、紗雪がミスをする道理なんて一切ないんだからな!俺は信じてるぞ。」
蒼空の言葉に紗雪は顔を上げる。さっきまでの暗い顔とは打って変わって、その瞳には光が宿っていた。
スタッフ「まもなく本番が始まるので参加者以外は退出してくださーい!」
蒼空はスタッフから追い出されるように退出し、美月と大地もそのあとを追うように退出する。
紗雪はお守りを見て呆れながらも堪えきれず笑みをこぼしていた。
口元を緩ませながら「人」を飲み込んでいる紗雪の姿を大地は退出時に確認する
大会本番では紗雪の体調が悪くなったり大きなミスをすることもなく、落ち着いた表情でスピーチを終えられた。蒼空と大地は離れた席で一部始終をそれぞれ見守っていた。
〇コンテスト後 夕暮れ時 体育館外のベンチに腰掛ける大地と紗雪
紗雪「はあああ~~終わったあ~~!」
上半身伸びをして、開放感に満ち溢れている
大地「お疲れ様、紗雪ちゃん。スピーチすごくよかったよ。」
紗雪「ありがとうございます!4位でギリギリ入賞は逃しちゃったけど良い経験になりました」
大地「落ち着いて出来てたね。蒼空君のお守り効果のおかげかな?…俺の励ましはそんなに効果無さそうだったなあ」
紗雪「いえ、そんな…ただ、ああ言ってもらうのは申し訳ないというか…」
大地「申し訳ない?」
紗雪「…はい。私はこの身体のせいで昔からできない事も多かったから"無理しなくていいよ""できないなら大丈夫"ってよく言われてきました。みんな優しさから言ってくれてるのは分かってるんです。でも…それは"期待してない""どうせ大して出来ない"って思われてるなって感じちゃって。…でも、蒼空の優しさのカタチはいつもヘンテコで意味不明だから、申し訳ないよりも怒ったり笑ったりしちゃうんですよね…まあ、怒るほうが多いけど!」
夕暮れの風に髪をなびかせながら困ったように笑う紗雪に、大地は蒼空には叶わないとこを静かに悟ってしまう
大地「…そうか。奇抜で一方通行だからこそ、他にはない絆になることもあるんだな…」
紗雪「え?なにか言いました?」
大地「いや、何も。そういえば蒼空君は部室に寄るって言ってたよ。まだいるんじゃないかな」
紗雪(正直まだ告白の一件で気まずいけど、本番前も会いに来てくれたしなあ…)
紗雪「一応、お礼言いに行っておこうかな。じゃあ、大地先輩。失礼します」
大地「…いってらっしゃい、紗雪ちゃん」
ベンチに腰かけたまま紗雪の後ろ姿を優しく微笑みながら見守る
〇下駄箱についたところで、紗雪が蒼空と鉢合う。
紗雪「あ、蒼空!あのお守りありがとうね。笑えた!」
蒼空「笑い目当てで作ったものではないが、本番はベストを尽くせているように見えた。何よりだな」
そのまま並んで学校を出る2人だが、長い沈黙が流れる。気まずさに耐えきれずに紗雪から口を開く。
紗雪「…あの、蒼空?この前の」
蒼空「あの告白の件は気にしないでくれ」
紗雪「え?」
紗雪の足が止まって蒼空が紗雪の真正面に立って向き合う2人
蒼空「紗雪は俺と一緒に医者になる。そのために俺は紗雪の体調管理と勉強環境をサポートする。だから紗雪は何も気にせずに引き続き夢を追いかけてくれ。それが俺の使命であり、望みだ。…それだけなんだ。」
無理に笑みを浮かべようとして頬がピクピクと引きつっており、瞳の奥には怯えが浮かんでいる。
その様子に違和感を感じながらも、それ以上の追求を拒んでいるように見えたので紗雪はそれ以上何も聞けなかった。
紗雪モノローグ【ただその瞳が、"告白の答えなんていらない"と強く懇願しているように見えた。】
紗雪「…うん、分かった。帰ろうか」
紗雪の返事に蒼空はホッとしたように表情が緩んだ。
紗雪モノローグ【蒼空が私を好きだというのは、おそらく嘘じゃないと思う。でも…蒼空の中でも気持ちの整理ができていないように見えた。それに私も蒼空とどうなりたいのかがまだわからない。だから今はただ、同じ夢を追う者同士として穏やかでヘンテコなこの日常を変わらず一緒に過ごしていこうと思う。】
紗雪「このお守り、なんで緑色なの?」
蒼空「もちろん緑色は癒し効果があるだからだ、他にもここを押すとヒーリングミュージックが流れたりーー」
夕暮れに染まる風景の中、いつも通りの談笑をしながら2人並んで帰路につくのだった。
