天才発明系男子の過保護な愛情〜病弱な私との歪んだ未来図


〇朝 教室 
紗雪が教室内に入ろうとしたタイミングで
蒼空がドアを開けてバッタリ会う。
一瞬、蒼空も気まずそうな顔をするが、すぐに笑顔で紗雪に話しかける

蒼空「おはよう、紗雪!勉強日和のいい天気だな!どうだ、放課後は俺とひさしぶりに問題を出し合うなど...」

紗雪は無言のままツンとした表情で、蒼空の脇をすり抜けて自分の席に着く。

紗雪「おはよう、みっちゃん」
美月「紗雪〜、無視とかよくなくない~?仲直りしなよ~」
紗雪「......イヤよ」
美月「もお~頑固~」

紗雪モノローグ【あのタピオカクラッシュ事件以降、私は蒼空と口を聞いていない。蒼空は今までどおりに接しようとしてくるけど、あの日の事を思い出すとどうしても怒りがこみ上げてくる。みっちゃんには、逆に気を使わせちゃってるので申し訳ないけど...でも!ちゃんと謝ってくれるまで許すつもりなんてない!!】

※廊下・食堂・帰り道で蒼空が話しかけてくるが、全部ツーンとしてそっぽ向いている紗雪
それを美月が苦笑いしている

〇教室 
ホームルームで中間テストの日程が配られている

紗雪(それに、もう1週間後には中間テストが始まる。2年になってから蒼空の発明品に振り回されて勉強もいつもより疎かだった気がするから...。今年最初のテスト、頑張らなくちゃ!!)

チラリと紗雪は蒼空の席へ目をやると、蒼空はかなり暗い顔をしている。
(蒼空は紗雪の斜め前らへんの席)

紗雪(蒼空には悪いけど、私に無視されてヘコんでるのか集中して勉強できるしね...)

蒼空(なにか手は無いだろうか。紗雪に勘付かれずに身体状態を管理できるような方法は...このままでは予測不能の事態が起こってしまう。そうなったら俺は、耐えられない!)

こんな事を考えてるとは知らず、少し可哀想な気がして心が痛む紗雪だが、すぐにかぶりを振って頭を切り替える。

紗雪(...ふん、自業自得よ。知らない。わたしはもう中間テストのことしか考えない...)

紗雪はその後も四六時中勉強に励み続ける
(紗雪自室、電車、休み時間、お風呂で単語帳など)


〇数日後(中間テスト5日前) 朝  教室
美月「うわ!紗雪、顔色わるいよ。どうしたん!?」
紗雪「大丈夫...ちょっと、勉強疲れ...」

蒼空が登校してくる。
紗雪の顔を見てギョッとし、すぐさま駆け寄ってくる。

蒼空「紗雪、なんだその顔は!?真っ青じゃないか!すぐにバイタルチェックを...」
鞄をゴソゴソと漁って、第1話登場の腕時計(バイタルチェックウォッチ)を取り出す。

紗雪「必要ないから。ほっといて」
蒼空「今にも倒れそうだぞ。せめて保健室へ...」
紗雪「だから!ほっといてって言ってるでしょ!!」

蒼空を押しのけて、自分の席に突っ伏す紗雪

蒼空(なぜ分かってくれないんだ、紗雪。俺はただ君が何の心配もなく夢を追いかけられるような健康状態へのサポートをしてやりたいだけなのに...。だが、紗雪はあの日以降、完全に俺を拒絶している。この関係を修復する事が最優先事項だ。そのためには...)
チラリと隣の美月を見やる。

蒼空「...美月くん。頼みがある」

〇数日後(中間テスト3日前)
金曜日 終わりのホームルーム後

紗雪の顔色はますます悪くなる一方

紗雪(頭重い...歩けないほどじゃないけど、クラクラして...どんどん悪くなってきてる気がする...試験は休み明けの月曜からだから、今日は...問題集と単語チェックを進めて教科書を読み込んだら、早めに寝て...)

美月「さゆき」
後ろからトントンと紗雪の肩をたたく

美月「はい、差し入れ!」
紗雪「え?」
綺麗に包装された箱を渡される

美月「今日はバイトだから一緒に帰れないけど...お大事にね!試験がんばろ!」

紗雪「あ、ありがとう...」(なんだろう、コレ...)

〜場面転換〜

〇自宅で差し入れの箱を開封している
中を空けるとフワリと良い香りが漂い、小さな紅茶セットが3本入っていた。

紗雪「わあ、いい香り...これはハーブティー?」

手に取ってみると、角ばった大きな字で書かれた手書きラベルが貼られている。
「安眠効果UP」「集中力UP」「デトックス効果」

紗雪(この字はみっちゃんのじゃない...この字は...)
脳裏に蒼空が思い浮かぶ。
贈り主の正体が分かり、心が温かくなっていく。

紗雪「ほんとっ...不器用なんだから...」

紗雪モノローグ【こうして、差出人不明の紅茶をお供に迎えた中間テストを何とか乗り切りーーー】

紅茶を飲んでほっと一息つきながら勉強したり、中間テストが始まった様子をダイジェストで描く

〇保健室 ベットの上でぐったりと横たわる紗雪
紗雪「お、終わったああああ~」
今回は本当に疲れた...体調がなんとか持ち直してよかった...」

蒼空「...紗雪」カーテンの向こうから蒼空が呼びかける
紗雪「...蒼空?」
蒼空「紗雪...お疲れ。その...テストはどうだった?」
紗雪「...けっこう出来たと思うわ」
蒼空「そっか。しんどそうだったのに、さすがだな。
紗雪は本当に勉強熱心で努力家だな。」
穏やかさの伝わる声に紗雪の心がほぐれていく。

1年生のときや中学の時は「勉強しなくてもできる天才」とばかり言われ、努力を褒めてくれない同級生が多かったことを思い出す紗雪。

紗雪(蒼空は私の努力をちゃんと見てくれている...)

紗雪が寝ながらそーっとカーテンを開いて
隙間から蒼空を見る

紗雪「ハーブティー...くれたのは蒼空でしょ?」
蒼空「...美月くんからなら、受け取ってくれると思って渡した。美月くんも快く引き受けてくれて...いい友達だと、思う。その...友情に口を出したうえに、友達との大事な時間を邪魔して...悪かった。ごめん。」

歯切れは悪いが、真剣な表情で頭を下げた蒼空に、紗雪は息を吐き出し、蒼空に笑いかける。

紗雪「うん、許してあげる。...ハーブティーありがとう、おいしかったよ。」

それを聞いて、パアっと顔が明るくなる蒼空

蒼空「...ああ!でも今後は必ずハーブティーとは比較にならないほど紗雪の全てを全面的にサポートできるような作品を作り出してみせるぞ!待っていてくれ!よーし、そうと決まれば早速設計開始だ!」
途端に饒舌に意気揚々と話し出す

紗雪「いや、それはちょっと遠慮したいんですが...」
おいしかったハーブティーの味を思い出しながら、次の発明品プランを語る蒼空を、保健室のベッドから見守る紗雪。

紗雪(ああいう優しさで、十分なんだけどなあ...)

◯おまけシーン
中間テストの成績が紗雪は学年首席、蒼空は学年2位だった。その事実が納得いかない紗雪

紗雪(あんな変なのも作ってて何で2位が取れるのよ...!?)