〇蒼空の過去回想
蒼空モノローグ【好きでもない図書館に連れていかれて、よく本を選ばされていた。本当は外でサッカーがしたいのに。ーーそこでよく見かけていた女の子。いつも1人で黙々と本を読んでいた。同じ年くらいの子が外で遊んでいるとそれを羨ましそうに眺めていたのが、いつも気になっていた。だからーーー】
◯幼い紗雪が搬送された病院先で、蒼空は母にビンタされて床に倒れる。父親が母を制止している。
蒼空母「なんでこんな事したの!?下手したらあの子は死んでしまうところだった!謝って済む問題じゃないんだよ!?」
〇蒼空目線で紗雪が倒れた当時の回想
図書室
蒼空「俺、今からお母さんとクリスマスマーケット行くんだけどさ、おまえは行かないのか?」
紗雪「...ダメなの。ああいう人が多い場所はすぐに体調悪くなっちゃうし、今日は特に寒いから連れていけないって」うっすらと目に涙を浮かべながら持っている本に目を落とす
蒼空「ふぅん...じゃあ、俺が内緒で連れてってあげる!ほらいこ!」
紗雪「え?ええっ!?」
紗雪の手を強引に引いて図書館を出る蒼空。
公園へ走っていき、着いたところでキラキラと輝くイルミネーションやクリスマスツリーを2人で見上げる。
紗雪「うわあ...キレイ...」うっとりと目の前の景色を眺めているが、顔が赤くゼィゼィと息が荒い
蒼空「なっ!?来てよかっただろ...っ、おい!?」
胸の辺りを押さえて紗雪が倒れてしまう
蒼空「え...え??」
周りが騒然となっている中で紗雪を見下ろして青い顔で立ち尽くす蒼空
〇蒼空母からビンタされた直後のシーンに戻る
蒼空「...寂しそうだったんだ、ずっと...だから...一緒に行けたらきっと楽しいって...ごめんなさい、ごめんなさい...!」
へたり込んだまま泣きじゃくって謝る蒼空に
両親も眉根を寄せてつらそうな表情を見せる。
蒼空モノローグ
【それからは小学校に入学して、勉強に打ち込み、なりたくもないけど親と同じ医者を目指した。目指すフリをしていた。それが、名前も知らないあの子を痛めつけたせめてもの償いだと思いながら。】
無表情で生気のない顔つきのまま机に向かって勉強する小学生~中学生の蒼空
〇回想 続き
高1の春 医学部のパンフレットを脇に抱え廊下を歩いている蒼空
さっき職員室で担任に言われた言葉を思い返す。
当時の担任「医者かあ。立派で素晴らしい夢だな。親御さんもさぞ鼻が高いだろうな。応援してるぞ」
贖罪の道として選んだ医者というレールを夢と呼ばれることに、蒼空は違和感と申し訳なさを抱く。
蒼空【...夢。これって俺の夢なのか?ただ、親も医者っていうレールを利用して、あの子への償いをしたいだけだ。医者になりたいなんて本当はべつに思ってないのに...夢っていうのはもっと...心の底からなりたいと願えるような...】
すれ違いざまに女子生徒(当時の紗雪)と肩がぶつかり、蒼空のパンフレットが紗雪の足元に落ちる。
蒼空「あ、すみません!大丈夫ですか?」
紗雪がパンフレットを拾い、表紙を見つめる。
紗雪「...医学部、目指してるの?」
蒼空「え?あ、まあ...一応」
(なんか見たことあるな...そうだ、新入生代表挨拶で倒れた...)
紗雪「あのね、実は私も...!」
〜ここで一旦、回想終了〜
◯現代に戻り、2人の思い出の公園 雪が降り出している
蒼空が公園に着くと、紗雪が傘を差して待っていた。
(蒼空は傘を持っていない)
紗雪「蒼空...久しぶり...」優しく微笑みはかける
傘の上に積もっている雪や紗雪の顔色を見て、
紗雪を寒い中、待たせてしまった事に気付き
蒼空の顔は悲痛に歪む
紗雪「蒼空?どうしたの?」
蒼空「...ごめん」
俯き、紗雪の顔は見れないまま呟く
紗雪「...それは、どれに対して?」
蒼空「母さんに聞いた。紗雪にあの日のことを全部話したのも、夢を諦めるように言ったことも。...本当にごめん。全部俺のせいだ。君の夢を応援するなんて言ってるくせに、俺の存在はその邪魔しかしてない。紗雪にはいい迷惑だったよな」
紗雪「...私、蒼空にはたくさん助けられてきたよ?」
蒼空「いいや。俺が作ってきたものも結局、紗雪を困らせてばかりだった。」
紗雪の言葉を拒絶するように俯いたまま力強く首を振る
紗雪「そりゃあ正直、意味わかんない行動とか発明品もいっぱいあったけど、いつだって力になろうとしてくれてたのは分かってるよ」
蒼空「違う...!!全部、ただの俺の自己満足だ。知らないだろ?君があの時の女の子だってわかった時、俺は...凄く高揚した。これで君を立派な医者にできれば、俺は許してもらえるかもしれないって。」
紗雪があの時の女の子だと分かった瞬間の衝撃と嬉しさと歪んだ決意が入り交じった当時の蒼空の表情を思い出す。
蒼空「だから自分も医者を目指していると嘘をついたまま、君の夢を叶えるのに必死になった。俺が自分の罪悪感を消したいが為に、許してもらえるように紗雪に欠陥品を押し付けてたんだ。きっと、本当の意味で紗雪の夢を応援なんてしてなかったんだ。
そもそも俺達親子が原因で作られた夢を俺たちが自身が砕いた。最低だ。こんな酷い話はない。こんな奴...もう側にいる資格なんてないだろ」
蒼空の主張をただ黙って聞く紗雪。
蒼空はうつむいたまま、視線を一瞬紗雪の顔に移すと、紗雪がグっと涙をこらえているのを見て、再び視線は地面へと落ちる。
蒼空「...紗雪が望むなら、俺を転校させても良いと母さんも言っている。...俺はもう、きみの夢にも一切干渉しないし、関わらない。...本当にごめん。」
一拍置いて、蒼空がもう話す気がない事を確認し、大きく深呼吸をしてから紗雪は口を開く
紗雪「...わかった。最後に1つだけ聞かせてほしい。」
蒼空はこちらを見ないが、紗雪はかまわず続ける。
紗雪「納得できないの。だって出会った時から蒼空はすごく私の身体のことを気にかけてくれてたし、こんな弱い身体なのに医者を目指す私を最初から否定していなかった。本当の意味で応援してなかったと言うなら、私が図書館で出会った子だって知らなった時と今、少し過激にはなったけど接し方がそんなに変わったとは思わない。
―――ねえ、蒼空。私のそばにいてくれた時間は、本当に罪悪感だけのものだったの?」
蒼空が弾かれたように顔を上げて紗雪を見つめる。
高1の春 医学部のパンフレットを見て
声を掛けてくれた時の記憶を鮮明に思い出す蒼空
高1の紗雪「あのね、実は私も医学部を目指してるんだ!!絶対に医者になりたいの!仲間がいるなんて、嬉しいなあ!....ねえ、名前教えて?」
最高にキラキラとした笑顔で夢を宣言する紗雪に、蒼空は一瞬で恋に落ちてしまっていたのだ。
あの時の鮮烈な気持ちと紗雪の最高に眩しい笑顔を鮮明に思い出しながら、蒼空はポツポツと語り出す。
蒼空「...医者になるって、まっすぐに夢を告げてきた君が誰よりも眩しく輝いていて...好きだと思った。身体の弱さに反して強い意志を持った心が。夢に向かって努力する姿、細やかな気遣い、優しくて柔らかい笑顔も俺のせいで困り顔な紗雪も全部、全部好きなんだ。」
2人の目に涙が浮かび始める。
蒼空「本当はそばにいたい。もし紗雪の夢が別のものに変わっても、2人の間に夢が無くなっても、隣にいるのは絶対に俺じゃなきゃイヤだ!...たとえ何の役に立てなくても」
苦し気に、でもまっすぐ目を見て告げられた言葉に紗雪は傘を放り出して蒼空を強く抱きしめる。
「わたしの夢は無くならないし、変わらない...私は医者になる。それと...大好きな蒼空とずっと一緒にいる。蒼空も夢も、私はどっちも諦めない。知ってるでしょ?こんな身体だけど、私って諦めが悪いの」
紗雪の返答に、蒼空の心の枷が外れたように涙がこぼれ落ち、紗雪を強く抱きしめ返す。
紗雪モノローグ
【私たちを繋いでいたのはあの日から始まった夢と罪悪感だったかもしれない。だけど、確かに純粋な愛はここに生まれていた。最初からそれだけを信じられれば良かったけど、私たちは愛だけで生きられるほど強くはなくて、これからもきっと色んな生きる理由を探してしまうんだろう。
でも、大丈夫。私を縛っていた「憧れ」という呪縛も、蒼空を縛っていた「罪悪感」という檻も、もう私たちを苦しめはしない。
今日ここからまた2人で信じる道を、進んでいければいい。この降り続ける雪のように真っさらな愛の温もりをただ信じてーー】
蒼空モノローグ【好きでもない図書館に連れていかれて、よく本を選ばされていた。本当は外でサッカーがしたいのに。ーーそこでよく見かけていた女の子。いつも1人で黙々と本を読んでいた。同じ年くらいの子が外で遊んでいるとそれを羨ましそうに眺めていたのが、いつも気になっていた。だからーーー】
◯幼い紗雪が搬送された病院先で、蒼空は母にビンタされて床に倒れる。父親が母を制止している。
蒼空母「なんでこんな事したの!?下手したらあの子は死んでしまうところだった!謝って済む問題じゃないんだよ!?」
〇蒼空目線で紗雪が倒れた当時の回想
図書室
蒼空「俺、今からお母さんとクリスマスマーケット行くんだけどさ、おまえは行かないのか?」
紗雪「...ダメなの。ああいう人が多い場所はすぐに体調悪くなっちゃうし、今日は特に寒いから連れていけないって」うっすらと目に涙を浮かべながら持っている本に目を落とす
蒼空「ふぅん...じゃあ、俺が内緒で連れてってあげる!ほらいこ!」
紗雪「え?ええっ!?」
紗雪の手を強引に引いて図書館を出る蒼空。
公園へ走っていき、着いたところでキラキラと輝くイルミネーションやクリスマスツリーを2人で見上げる。
紗雪「うわあ...キレイ...」うっとりと目の前の景色を眺めているが、顔が赤くゼィゼィと息が荒い
蒼空「なっ!?来てよかっただろ...っ、おい!?」
胸の辺りを押さえて紗雪が倒れてしまう
蒼空「え...え??」
周りが騒然となっている中で紗雪を見下ろして青い顔で立ち尽くす蒼空
〇蒼空母からビンタされた直後のシーンに戻る
蒼空「...寂しそうだったんだ、ずっと...だから...一緒に行けたらきっと楽しいって...ごめんなさい、ごめんなさい...!」
へたり込んだまま泣きじゃくって謝る蒼空に
両親も眉根を寄せてつらそうな表情を見せる。
蒼空モノローグ
【それからは小学校に入学して、勉強に打ち込み、なりたくもないけど親と同じ医者を目指した。目指すフリをしていた。それが、名前も知らないあの子を痛めつけたせめてもの償いだと思いながら。】
無表情で生気のない顔つきのまま机に向かって勉強する小学生~中学生の蒼空
〇回想 続き
高1の春 医学部のパンフレットを脇に抱え廊下を歩いている蒼空
さっき職員室で担任に言われた言葉を思い返す。
当時の担任「医者かあ。立派で素晴らしい夢だな。親御さんもさぞ鼻が高いだろうな。応援してるぞ」
贖罪の道として選んだ医者というレールを夢と呼ばれることに、蒼空は違和感と申し訳なさを抱く。
蒼空【...夢。これって俺の夢なのか?ただ、親も医者っていうレールを利用して、あの子への償いをしたいだけだ。医者になりたいなんて本当はべつに思ってないのに...夢っていうのはもっと...心の底からなりたいと願えるような...】
すれ違いざまに女子生徒(当時の紗雪)と肩がぶつかり、蒼空のパンフレットが紗雪の足元に落ちる。
蒼空「あ、すみません!大丈夫ですか?」
紗雪がパンフレットを拾い、表紙を見つめる。
紗雪「...医学部、目指してるの?」
蒼空「え?あ、まあ...一応」
(なんか見たことあるな...そうだ、新入生代表挨拶で倒れた...)
紗雪「あのね、実は私も...!」
〜ここで一旦、回想終了〜
◯現代に戻り、2人の思い出の公園 雪が降り出している
蒼空が公園に着くと、紗雪が傘を差して待っていた。
(蒼空は傘を持っていない)
紗雪「蒼空...久しぶり...」優しく微笑みはかける
傘の上に積もっている雪や紗雪の顔色を見て、
紗雪を寒い中、待たせてしまった事に気付き
蒼空の顔は悲痛に歪む
紗雪「蒼空?どうしたの?」
蒼空「...ごめん」
俯き、紗雪の顔は見れないまま呟く
紗雪「...それは、どれに対して?」
蒼空「母さんに聞いた。紗雪にあの日のことを全部話したのも、夢を諦めるように言ったことも。...本当にごめん。全部俺のせいだ。君の夢を応援するなんて言ってるくせに、俺の存在はその邪魔しかしてない。紗雪にはいい迷惑だったよな」
紗雪「...私、蒼空にはたくさん助けられてきたよ?」
蒼空「いいや。俺が作ってきたものも結局、紗雪を困らせてばかりだった。」
紗雪の言葉を拒絶するように俯いたまま力強く首を振る
紗雪「そりゃあ正直、意味わかんない行動とか発明品もいっぱいあったけど、いつだって力になろうとしてくれてたのは分かってるよ」
蒼空「違う...!!全部、ただの俺の自己満足だ。知らないだろ?君があの時の女の子だってわかった時、俺は...凄く高揚した。これで君を立派な医者にできれば、俺は許してもらえるかもしれないって。」
紗雪があの時の女の子だと分かった瞬間の衝撃と嬉しさと歪んだ決意が入り交じった当時の蒼空の表情を思い出す。
蒼空「だから自分も医者を目指していると嘘をついたまま、君の夢を叶えるのに必死になった。俺が自分の罪悪感を消したいが為に、許してもらえるように紗雪に欠陥品を押し付けてたんだ。きっと、本当の意味で紗雪の夢を応援なんてしてなかったんだ。
そもそも俺達親子が原因で作られた夢を俺たちが自身が砕いた。最低だ。こんな酷い話はない。こんな奴...もう側にいる資格なんてないだろ」
蒼空の主張をただ黙って聞く紗雪。
蒼空はうつむいたまま、視線を一瞬紗雪の顔に移すと、紗雪がグっと涙をこらえているのを見て、再び視線は地面へと落ちる。
蒼空「...紗雪が望むなら、俺を転校させても良いと母さんも言っている。...俺はもう、きみの夢にも一切干渉しないし、関わらない。...本当にごめん。」
一拍置いて、蒼空がもう話す気がない事を確認し、大きく深呼吸をしてから紗雪は口を開く
紗雪「...わかった。最後に1つだけ聞かせてほしい。」
蒼空はこちらを見ないが、紗雪はかまわず続ける。
紗雪「納得できないの。だって出会った時から蒼空はすごく私の身体のことを気にかけてくれてたし、こんな弱い身体なのに医者を目指す私を最初から否定していなかった。本当の意味で応援してなかったと言うなら、私が図書館で出会った子だって知らなった時と今、少し過激にはなったけど接し方がそんなに変わったとは思わない。
―――ねえ、蒼空。私のそばにいてくれた時間は、本当に罪悪感だけのものだったの?」
蒼空が弾かれたように顔を上げて紗雪を見つめる。
高1の春 医学部のパンフレットを見て
声を掛けてくれた時の記憶を鮮明に思い出す蒼空
高1の紗雪「あのね、実は私も医学部を目指してるんだ!!絶対に医者になりたいの!仲間がいるなんて、嬉しいなあ!....ねえ、名前教えて?」
最高にキラキラとした笑顔で夢を宣言する紗雪に、蒼空は一瞬で恋に落ちてしまっていたのだ。
あの時の鮮烈な気持ちと紗雪の最高に眩しい笑顔を鮮明に思い出しながら、蒼空はポツポツと語り出す。
蒼空「...医者になるって、まっすぐに夢を告げてきた君が誰よりも眩しく輝いていて...好きだと思った。身体の弱さに反して強い意志を持った心が。夢に向かって努力する姿、細やかな気遣い、優しくて柔らかい笑顔も俺のせいで困り顔な紗雪も全部、全部好きなんだ。」
2人の目に涙が浮かび始める。
蒼空「本当はそばにいたい。もし紗雪の夢が別のものに変わっても、2人の間に夢が無くなっても、隣にいるのは絶対に俺じゃなきゃイヤだ!...たとえ何の役に立てなくても」
苦し気に、でもまっすぐ目を見て告げられた言葉に紗雪は傘を放り出して蒼空を強く抱きしめる。
「わたしの夢は無くならないし、変わらない...私は医者になる。それと...大好きな蒼空とずっと一緒にいる。蒼空も夢も、私はどっちも諦めない。知ってるでしょ?こんな身体だけど、私って諦めが悪いの」
紗雪の返答に、蒼空の心の枷が外れたように涙がこぼれ落ち、紗雪を強く抱きしめ返す。
紗雪モノローグ
【私たちを繋いでいたのはあの日から始まった夢と罪悪感だったかもしれない。だけど、確かに純粋な愛はここに生まれていた。最初からそれだけを信じられれば良かったけど、私たちは愛だけで生きられるほど強くはなくて、これからもきっと色んな生きる理由を探してしまうんだろう。
でも、大丈夫。私を縛っていた「憧れ」という呪縛も、蒼空を縛っていた「罪悪感」という檻も、もう私たちを苦しめはしない。
今日ここからまた2人で信じる道を、進んでいければいい。この降り続ける雪のように真っさらな愛の温もりをただ信じてーー】
