上手く生きてるように見せかけて実は上手く生きれてない

彼がいたずらっぽくそう言ってニッと笑う。笑うとますます幼く可愛く見えるなぁ。
「推しの祭壇あるの?」
「ちっちゃいけどあるよ。写真とかグッズとかきれいに飾ってる」
「見せて。
あ、スーパーでなんか食べ物と飲み物買っていこうよ」
「アンタ、ほんとは行きたいんでしょ? 上海。仕事代わりにやるよ?」

返事の代わりに私はニッと笑った。
「年末楽しみだ」
「ライブが? デートが?」
「ライブが!!」
困ったような顔を作って彼が笑った。可愛いな、と思った。
きみを私の推しの沼に引きずりこんでやるぞ。覚悟しとけ。

「アンタの祭壇もあるよ」
「撤去しろ」


2025.10.06
蒼井深可 Mika Aoi