前にもあった。一年間付き合っていた人も柚子が好きだった。それを知らずに告白されて付き合った。もう少し真っ直ぐな髪の方が可愛い、その言葉に髪を伸ばした。メイクはナチュラルな方がいい、私は濃いメイクが好きだったけれど変えたのだ。そうしていくうちに自信が無くなっていき、人目を気にするようになった。

「柚子の真似してる?」

 柚子にそういわれ、鏡を見たら柚子になっていた。服も顔もその通りになっていた。
 ここで初めて彼は私を柚子の代わりにしようとしていたことに気が付いたのだった。
 愕然としていると、柚子は怪訝な顔をして似合ってないよ、不愉快と冷たく吐き捨てた。
 まさに追い打ちをかけるようにである。

 私は震える足で家を出て、美容室に駆け込んだ。できるだけ短く切ってくれ、と必死の形相で伝えた。美容師さんは私のただならぬ雰囲気に圧倒されながらも「後悔はない?」と聞いた。頷くと席に案内された。