winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

それから暫くたっても、拓から食事に行こうと誘われる連絡が来ることはなかった…



首筋のキスマークも消え、もう連絡は来ないだろう?この前の事は忘れようと忘れかけた頃、私の携帯に連絡が来た



『今晩ご飯食べに行かない?』



私は携帯のメッセージを見て戸惑った



会ったらまた拓のペースに乗せられて、断れないかもしれない…



会ってしまって拓を拒めるの?    



私には自信がなかった…



『今日は予定があるし、これからも、もう拓とは会わない。もう誘わないで』



私は意を決してもう会わないと言う意志を伝えた…



少し時間を置き、また拓からメッセージが入る



『この前来た時の愛奈の忘れ物、家に預かってるよ。19時にY駅まで迎えに行く』



拓のメッセージには強制じみたものを帯びている



私の心はざわつきっぱなしだ


 
忘れ物って何だろう?



私は何か大事な物を忘れてしまっただろうか?



考えても思い出せない私は、結局気になり、誘いに乗る事にした…



『分かった…じゃあ19時に…」



一言そう送って、私は拓との待ち合わせに向かった