winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

結局私は、今日は夜勤だからと職場ではなく、拓に自宅まで送ってもらった…



私達は改めて連絡先を交換して、また連絡すると言って別れた



私達はたまにご飯を食べに行く間柄となった…



……



職場に行くと、香織さんが心配そうに話しかけて来た  



「昨日愛奈ちゃんが黒い車に乗せられて行くのを見たって聞いたんだけど大丈夫?」

 

香織さんは悪びれのないように率直に聞いてくる



職場で少し噂になっているようだ



「あー実は…昨日の車は昔付き合ってた拓なんです…」



私は香織さんに隠し事はしたくなくて、正直に答えた



「えっ⁈拓ってあの愛奈ちゃんを酷い目に合わせた拓?」



香織さんは焦って驚いている



香織さんの中で拓は私を傷ものにした許せない奴のようだ…


「あーそうです。昨日久しぶりに会って話したんですけど、別に普通に話して、それだけで終わりました」



もう拓と私は終わった仲なので、大丈夫です



本当はたまにご飯を食べに行く間柄になりましたとは言えなかった…



きっとそれだけでも、世間一般的に見たら、婚約者の山下さんへの裏切り行為に入る…



私はずるいと思いながらも、香織さんに本当の事を打ち明けられなかった…



「そっか…ならいいけど、折角山下さんとの結婚が決まったところだから心配しちゃってさ…」



愛奈ちゃんに限って山下くんを裏切るなんてないよね



香織さんは私の肩を叩いてあー安心したと安堵している



私は嘘をついている事が申し訳なくなった…