winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

「ごめん…私何も覚えてなくて…」



私は兎に角平謝りだ  



無理もないよ。愛奈はお酒飲みすぎるとすぐに寝ちゃうからね



とりあえずシャワー浴びたら?



そう言われて拓にバスタオルを渡された私は促されるままお風呂にシャワーを浴びに行った



シャワーを浴びに行った私は冷静になればなる程、自分がなんて事をしてしまっているんだろうと真っ青になる



まずい…



私は婚約者がいる身で結婚も控えているのに、事もあろうに元彼の家に一泊してしまったのだ…



事実をやっと把握できた私は山下さんへの後ろめたさが込み上げてくる…



シャワーを浴び終わった私は自分がやらかしてしまった醜態に耐えられず、流暢にシャワーなんか浴びてる場合じゃないと急いで着替えてお風呂場を出た…



「あっ愛奈、朝ご飯食べる?」
    


ハムエッグとサラダ、トーストの乗ったお皿を並べて、拓が朝ご飯を作っている



昔のように当たり前に聞いてくる拓に私は驚いた…



「わ、私帰るね…昨日は飲みすぎちゃってごめんなさい」



私はバックを持って拓の家を出ようとした…



「待って愛奈。送って行くよ」



拓に呼び止められたが、「だ、大丈夫」と私は玄関の扉に手を掛ける



「ここがどこだか分かるの?」



そう言われて私は自分が今いる場所もわからない事に気付いてしまう…



「分からない…けど…」



自信なさそうに言った言葉が何とも情けない



「送って行くよ」



そう言われて仕方なく私は拓に職場まで送ってもらう事になった