winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

愛奈を自宅まで連れて来た僕は、酔って寝ている愛奈をベッドに寝かせた…



一緒に暮らしている時から愛奈はお酒を飲み過ぎるとすぐに寝てしまう…



それを知っていながら愛奈にお酒を飲ませた僕はずるい奴だなと思った…



愛奈はうーんと唸りながらスースー寝息を立ててよく寝ている



愛奈を自宅に連れて来て僕は何がしたいのだろう?



愛奈は来年の春には結婚するのだ



僕は諦めの悪い自分が嫌になった…


 
🎵ブーブーブー🎵



愛奈の携帯電話の着信音が鳴り響いている…



僕はどうしようかと迷い、申し訳ないと思いながらもバックから愛奈の携帯電話を取り出した



ディスプレイには『進《すすむ》さん』と出ている



愛奈の婚約者だと直ぐに分かった
   


僕は嫉妬に駆られ、その着信を無視した



暫く鳴って、着信は止まった



愛奈にはもう守ってくれる相手がいる



僕の出る幕はない…



僕はベッドで寝ている愛奈に近付いた



「君をこのまま攫ってしまいたいよ…力ずくで僕のものにしてしまいたい…でも、もう君を傷つけたくないんだ…僕がどんなに冷酷になっても、それだけはできない…」



僕はそう愛奈に囁くと、そっと愛奈の頬を撫でた…



すると…



「拓…」



寝言のようにそう言って愛奈は目から一筋の涙を溢した…



愛奈…君はもしかして…まだ僕の事を…?



僕の中に一筋の期待が湧いた 



愛奈…



そう名前を呼んで、僕は寝ている愛奈にキスをした…



んっ



愛奈が少し反応を示す 



その後首筋にそっと唇を落とすと、んっんんと言って体をくねらせた…



僕は愛奈の首筋にキスマークをつけた…



抱きたい気持ちを抑えて僕は愛奈から離れた…



相変わらず寝ると起きないな…



僕は愛奈の上に布団をかける…



そのまま愛奈は僕の家で一夜を明かした…