winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

青蘭壮の視察の日…



外は曇っていた…



吐くと白い息が出て寒さを物語っている



雪が降りそうだな



僕は何かが起こりそうな予感を胸に青蘭壮の扉を開けた



施設はクリスマスムード一色になっている



5年前のあの日もクリスマスだった…



僕は今日という日に視察が決まった事を、何かの因果のように感じていた…



クリスマス会をしている中を視察すると、愛奈がこちらを見ていた…



愛奈久しぶりに会った君は、相変わらず綺麗だね



僕は5年前の日々が蘇り、五感が震える



僕はまだ君を忘れていない



君が好きだ



一礼をしてその場を何もなかったかのように通り過ぎた



君に会って僕の心は再確認されてしまった



視察が終わり、帰ろうとすると、中庭で雪を見ている愛奈がいた



もしかしたら、君も僕と同じ気持ちじゃないだろうか?



君と初めて出会った日を覚えてくれていたんじゃないだろうか



そうだといいのに…



久しぶりに話した君は相変わらず美人で美しかった…



天然で栗色の髪の毛も、よく通った鼻筋も、くりっとした大きめな可愛い目も、全てが僕の心に刻まれて忘れられずに記憶に残っている…



愛奈…



僕は君に会いたかった…



「愛奈、また会って話せない?」



もう君の事は忘れようと思っていたのに、僕はまた会いたい衝動を抑えられなくて、気付くと君を誘っていた…



君とまた話したい



その一心だった…