winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

「愛奈は今彼氏いるの?」



左指に指輪してるから



拓が不意に私に訊ねる…



「うん。私婚約したの。来年の春に結婚する…」 



私は少し躊躇して言葉を発した



「そっか…もう5年も経つんだし、相手がいない訳ないよね…」



愛奈…結婚おめでとう



拓は少し寂しそうに言葉を発した



「有難う。拓は彼女とか、結婚は?」



私は話の流れで普通に訊ねた



「いないよ。結婚もまだしてない」



拓はそう言うと一口お酒を飲んだ



昔はお酒なんて飲まないくらいだったのに、本当に変わったんだね



私は目の前の拓に複雑な気持ちを覚えた…



「そっか…拓にもいい人が現れるといいね」



私はその言葉が拓にとってどれだけ残酷か…



何も分からずに言葉を発していた…