winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

「拓は、何か変わったね…」



雰囲気とか…見た目とか?



昔はこんな所来なかったし



私は率直な感想を言ってみた…



「まあ、僕は変わったんだ。強くなりたくて…」



愛奈の為に強くて権力のある男に変わったんだ…



拓はやっぱり今までとは違う…



私は変わってしまった拓に違和感を覚えた…



「私は…昔の拓のままが良かったよ…拓は優しくて、歌声が綺麗で、屈託ない笑顔で笑う陽だまりみたいな人だった…」



もう歌は歌ってないの?



私の目の前にいる拓は、昔と違って別人だ



「もう歌は止めたんだ。歌では食べていけないから」



夢を見てても何も守れないから



拓の言葉には何か悲しい思いが込められているようだ



私はその気持ちの裏にあるものが何なのか?



この5年間で一体拓に何があったのか?



私は訊ねたくても、訊ねられなかった…