winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

アパートの荷物を整理に行く日…



私は少し緊張していた…



思い出の詰まったアパートの前に立ち、フーッと深呼吸をしてアパートの部屋の鍵を開ける…



すると、拓の荷物は全て引き払われ、部屋は綺麗に掃除されている…



私はズボラで部屋を綺麗に維持できない




部屋を掃除してくれたのは、絶対に拓だなと思った…



私はそれだけで想いが溢れて泣いてしまいそうだった…



そんな気持ちを堪え、私は荷物を纏め、部屋の整理を始めた…




愛奈、大切な物はここに閉まっておくからね



大切な物はここに閉まっておいた事を思い出した私は、意を決してチェストの引き出しを開けた



すると…



そこには今まで一度も見たことのない、一枚のDISCが置いてあった…



DISCには、『眠れない愛奈の為の子守唄』と書いてある…



まさか…拓が…?



私は急いでDISCを持っていたプレーヤーで再生した…



🎵寂しがり屋の愛奈のために眠れるように子守唄を作りました🎵



久しぶりに聞いた拓の声に涙が溢れる

  

私は流れてくる拓の子守唄を聞いて泣いてしまった…

  

拓…拓…



まるで拓がそこにいるようだ…



私は涙が止まらなかった…



裏を見ると日付が書いてある



日付はあのクリスマスの日だった…



あの日…



拓は私にこのDISCをプレゼントするつもりだったんだ…



拓…拓…



あー



声を出して私は泣いた…



一頻り泣いた私は前を向く決意をする…



拓の声…ちゃんと私に届いたよ…



拓の声があるから、私は眠れるよ



私はこのDISCを一生大事にしようと心に誓った…



その日私はアパートの荷物をほとんど整理した



それから間もなく…



私は拓と一緒に暮らした思い出のアパートを出た…



拓がくれたこのDISCは、私の一生の宝物だよ…


 
拓…有難う…



私は拓に感謝した…