winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

「久しぶりの再会を祝して、カンパーイ」



懐かしい昔のメンバーと飲むのは、20歳の成人式の時以来だから、実に約8年ぶりだ…



私は久しぶりに会えた昔の仲間に嬉しくなった



落ち込んで絶望的になっていた心が、少しだけ解れる



私は浩大に感謝したい気持ちになった…



私と浩大と智恵美と明宏の4人は、高校時代仲の良い仲間だった…



何をするのも一緒で、放課後よく4人で帰りにカラオケに行ったり、ご飯を食べに行ったり、本当によく遊んだ



私達は無敵の4人

  

ピースを二つ作って4ピースって馬鹿みたいに言って、ポーズをとって良く4人で写真を撮った 



智恵美が昔の写真を持ってきて、高校時代の恥ずかしい写真を披露する



何これ?超恥ずいんだけど?



昔を懐かしんで、話が弾んだ



「愛奈は今彼氏とかいないの?」



ふと智恵美が悪びれもなく聞いてくる



「あー。私は…」 
   


ついこの前まで…



言っていて涙が出そうになってしまった…



「いいだろ。なんでも。愛奈にも色々あるんだよ」



浩大がすかさず間に入って話を濁してくれた



「あーごめんごめん。8年も経てば色々あるよね?」



智恵美が気を遣って話を切り替える



優しいなーと思う    



何も考えず、ただ無条件に楽しかった高校時代



社会人のように何の厳しさもなく、何のストレスもなく、ただだ馬鹿みたいなことを言って笑って過ごした



昔の仲間に会って、少し昔に戻りたくなった…



でも、やっぱり時間は巻き戻せない…



「愛奈飲んでるか?愛奈にしては飲みが足りなくない?」



少し感傷に浸っている私を見て、浩大が心配そうに話しかけた



「うん。飲んでるよ。何かいいなーと思ってさ。こうやって昔の仲間と飲むの…今日はみんなに会えて良かった」



私は暗く心の中に澱んでいたものが、昔の仲間たちのおかげで少し晴れた気がした…