winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

私は職場に病休を出し、1ヶ月間療養の為実家で休む事になった…



退院して2日が過ぎた頃、拓から私の携帯に電話がかかってきた



拓…



私は声を聞くだけで涙が止まらなかった…



「愛奈…ごめんね…家のお父さんが愛奈に酷い事を言わなかった?」



拓は心配して私に訊ねてくる



大丈夫だよ    



それより拓は今どうしてるの?



拓に会いたいよ…



そう泣きながら言う私に拓は諭すようにこう言った…



「もう僕は愛奈に会えない…僕といても愛奈は幸せになれない…泣かせて辛い思いばっかりさせて、不幸にするばっかりで、本当にごめんね…僕と関わったせいで、僕と出会ったせいで、愛奈を辛い目にばかりあわせて、本当にごめんね…」



拓は泣いている



「そんな事ないよ…私は辛い思いばっかりじゃなかったよ。幸せな事もいっぱいあったよ。拓の歌また聞かせてよ。拓の子守唄がないと、私眠れないよ」



拓がいないと生きていけないよ



私は泣に崩れてやっと言葉を発した…



「愛奈聞いて…愛奈は僕がいなくても生きていける。僕は今の僕じゃダメなんだ…もっと強い男になって、愛奈を守れるような強い男になるから…僕は愛奈を縛りたくないんだ…愛奈には僕を忘れて他の人と幸せになって欲しい…」



だから、僕たち別れよう…



拓はやっぱり泣いている…



ああーやっぱり私達は、もう別れるしかないんだね…



もう貴方には会えないんだね…



「拓…拓の歌声は世界一だよ…夢を諦めないでね…」
  


私は拓のファン第一号だから




いつか、また、拓の歌を聞かせて…



もう少しで年末を迎えようという冬の寒い日…



私達は別れた…



もう二度と会えない貴方を、私はずっと思っています



拓…貴方の事はずっと忘れないよ…



拓…どうか貴方が幸せでありますように…



さようなら…拓…