winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

「愛奈、愛奈」



拓の呼ぶ声で、私は目を覚ました



目を開けた先には眩しい病院のライトが見える



「たく?」



目を開けると心配そうに拓が私を見ていた



「愛奈、良かった目を開けて。このまま愛奈がいなくなったらどうしようかと思った…」



拓の目には涙が浮かんでいる



本当に心配していたようだ…



「拓…大丈夫だから泣かないで。それより赤ちゃんは…?」



私は自分のお腹を触った



でも、もう赤ちゃんがいる気がしない…



「愛奈…冷静になって聞いて…赤ちゃんはダメだった…」



拓は苦しそうに悲しそうにそう言った…



「うそ…嘘だよ…もう赤ちゃんいないなんて…嘘だよ…」



私は信じられなくて泣き崩れた



「私が大事にしなかったから…私がちゃんと守ってあげなかったから、赤ちゃん死んじゃった…」



私のせいで、赤ちゃんいなくなっちゃった…



「愛奈のせいじゃない。僕が愛奈に無理させてたから。ごめん…僕のせいで…本当にごめん」



拓と私は泣いた…



泣いても泣いても涙が枯れることはないくらい、2人で沢山泣いた…