winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

「そうだね。僕はただの同居人なんだから関係ないよね」



そう言いながらも拓はやっぱりご立腹だ



「愛奈にとって僕はただ家事をしてくれる家政婦みたいなもんだもんね。只の居候なんだから僕には何も言う資格もないよね」



いつになく卑屈な拓は日頃から不満が溜まっているのか、言葉が止まらない



「そこまでは言ってないよ。ただ職場の人と飲んできただけなのに、何で拓がそんなに不機嫌になるのかが分からないよ」



私達はお互いがお互いのテリトリーを守るという契約の下、同居しているはずだ



なのに今日の拓は一々干渉してきて、いつもの拓らしくない



「本当に分からないの?僕の気持ちが…?僕は今まで愛奈が暫くは1人でいたい。彼氏は作らないっていうから一緒にいられたんだ」



愛奈に特定の相手ができるなら僕はもう一緒にはいられない   



拓は興奮していていつになく饒舌だ