winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

「愛奈ちゃん。最近肌の調子良くない?元々若くて綺麗だけど、ここの所綺麗さに磨きがかかったって感じ?」



さては男ができたでしょ?



「ま、まさか〜男なんていませんよ。ただ最近ちゃんとご飯食べて良く寝てるからかな?」



私は惚けるように言ってみた



実際彼氏はいない



何でも家事をこなしてくれる同居人ならいるけど…



そんな事流石に言えない私は必死に拓の存在を隠した



「怪しいなー。彼氏が出来たなら隠す事ないんじゃない?私の勘は当たるんだから」



香織さんは疑って私の顔を真顔でじーっと見ている



「わ、私休憩終わりだから仕事に戻ろうかなー」



私は誤魔化すように休憩室を後にした…



く、苦しかったかも知れない…



でも、香織さんに本当のことなんて言ったら、絶対に反対されるに決まってる



愛奈ちゃん、くれぐれも変な男に引っかからないようにねが香織さんの口癖だ



素性もよく知らない年も本当か分からない年下男子と同居生活してますなんて、口が裂けても言えないよ



私は何としてでも隠し通さねばと気が重くなるのだった