winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

私の特技は人に合わせる事と、人の顔色を伺う事だ



昔の私の仇名は《どっちつかずの愛奈ちゃん》
 


愛奈ちゃんはどっちの味方なの?愛奈ちゃんはどっち派?



されて困る私の一番苦手な質問だった



そんな時大抵私はこう返す…



「どっちでも…?」



何それ?愛奈ちゃんていつも聞いてもそれしか言わないね



愛奈ちゃんは自分を持ってないの?



だって…本当にどっちでもいいんだもん…



二人とも選んじゃだめなの?



3人で遊ぶんじゃダメなの?



それなら、どっちか選んで、どっちかを傷つけることなんてないのに…



誰にも傷付いて欲しくない…



私は…どっちか選ぶのが苦手だった…



別に特別裕福じゃなかったけど、平凡な家庭に育って、のほほんと生き、17の時に大好きだったおばあちゃんが突然亡くなって、私はお年寄りに関わる仕事をしようと決意した



介護の専門学校を出た私は、21になって家を出て、一人立ちをしようと一人暮らしを始めた



暮らしは毎月ギリギリで余裕はないけど、まあ今の暮らしには満足している