winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

「そういう拓は家無しの家出くんか何か?」



いつもキャリーケース持ち歩いてるから



私はいつも気にしないように、触れないようにしていた事を聞いてみた

  

「まあ、当たらずとも遠からずって感じ…」



そう濁すように言った拓は、それ以上は口を噤んで話さなかった…



自分の素性をあまり明かしたくないに違いない 



まあ、言いたくないなら聞かないけど…



私は飲んでいた缶コーヒーをポンとゴミ箱に捨てた


 
「いつもどこで寝泊まりしてるの?」



自分の家があるように見えない拓を私は何となく放っておけない



「まあ泊めてくれる友達がいれば友達の所だし、後は大体ネカフェを転々と…」



ネカフェってやっぱり家無しなんだ…



私は心配でたまらなくなった…



「暫く、家に住む?」



自分がどれだけ大胆な事を言っているかは分かっている…



ハーと溜息をつきながら、私は自分でも信じられない言葉を吐いていた