winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

それから1週間…



私達はお互いの気持ちを確かめ合った…



拓はもう家無しではなく、この春から葉山ホールディングスの会社を出て、会社を起業し始めたとのことだ…



もう家無しではない拓に私は若干戸惑ってしまう…



「前のマンションは出たんだ…あそこは葉山の名義で借りてたから…」
  


案内された拓の新しいマンションは都心から少し離れた所にある閑静な住宅街の中に佇んでいた…



清潔感のある部屋が、綺麗好きな拓らしさを表している…



「拓の部屋って変な感じ…」



私の中で拓は家無しが当たり前だったから…



私は挙動不審に辺りを見回してしまたっ…



そんな私を見て、拓がクスッと笑っている…



「そうだよね。愛奈の中で僕は家無しの家出くんだもんね」



拓はまたそう言って笑った…