winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

父さんはふぅとため息を付いている



「お前が私にはっきりものを言うのは初めてだな…何もかも母さんにそっくりだな。お前が昔から私を嫌っていたのは知っていた…でも、長男として会社を継いでほしかったんだ…私も昔そうやって育てられた…長男だから、上に立つ人間だからと押さえつけられて育ってきたんだ…でも、お前が私とは違うのは分かる…」



もういい…



好きにしなさい…



父さんは諦めたように僕を真っ直ぐに見て言った



「父さん。ごめんなさい。父さんの期待に添えられる強くて逞しい男になれなくて…」



父さんは下を向いて項垂れている…



僕はもう一度深々と頭を下げて、社長室を後にした…