winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

「話とは何だ?俺は忙しい。手短に話せ」



相変わらずの高慢な態度だ…



僕は父さんの子供でいることが本気で嫌になった…



「時間は取らせたくないので、単刀直入に話します。僕は専務の座から降ります」



今までのなよなよとした態度とは違う



僕はしっかりとした態度と口調で父に言い放った



父さんは驚きもせずに僕の顔を真っ直ぐに見た



「お前が会社を継がないつもりなのは隆人から聞いたよ。専務の座から降りるのは構わない。でも、会社を辞めてお前は何をするんだ?またミュージシャンになりたいとでも言うつもりか?」



何をして生きるんだ?



父さんは鋭く僕に言い返す



相変わらずの威圧的な上からものを言う態度と口調に、僕は怯みそうになった…



「父さん…僕は今までずっとあなたという存在が怖くて、恐れて生きてきました…だから、貴方の言う事に逆らわずに生きてきた…でも、僕は貴方のような人間にはなれない…貴方のように冷酷非道に会社のトップに立つなんて僕にはできない。僕は貴方とは違う。僕は僕の信じる道を生きます。もう僕は20代そこそこの子供じゃない…責任だって自分で取れる。貴方のように野心も人の上に立つ器もなくても、たった1人の女性ならもう守れる…優しさじゃ人は守れないかもしれない…僕は甘い人間かもしれない…でも、これが僕です」



父さんの期待に添える子供になれなくてごめんなさい…



僕ははっきりとした毅然とした態度でそう言うと、父さんに深々と頭を下げた…